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真っ当な大人

両親を亡くした子供が親戚の中で盥回しになりそうなところを、縁の遠い独身の大人が引き取るー という設定。
記憶に新しいのは大ヒットしたドラマ『マルモのおきて』、マンガだと『うさぎドロップス』、『海街ダイアリー』など。
いずれも、その子を引き取らなければならない立場ってわけではなかった人たちが、その子のことを考えたら自分が引き取らないではいられなかった、というところからのスタートです。

『大人って子供を守るもんだろう』という、至極真っ当な判断が最初になされている、この時点で視聴者あるいは読者は、物語のその後は温かいものになるだろうと予感し、安心できる気がします。
『マルモ』と『うさぎ』は小学生の子どもを引き取るお話なので、思春期まっただ中の女の子を引き取る『海街』とは雰囲気が大分異なります(『うさぎ』では小学生だったリンちゃんが成長して大人になるまで描き切ってますが)が、いずれにせよ真っ当な大人が中心にいてくれるという世界観は、私たちを安心させますね。

『違国日記』は『海街』同様、中学生の女の子を引き取る話。繊細な雰囲気は『海街』に重なる部分も多いです。

違国日記(1) (FEEL COMICS swing)

ヤマシタトモコ/祥伝社

両親を突然の事故で亡くし、まだ「悲しい」という感情すら抱けないで「ぽつーん」「ぽかーん」としている15歳の少女「朝」を引き取ったのは、朝の叔母「槙生」
仲の悪かった姉「実里」の子である朝とはほとんど会ったこともなかったし思い入れもないのだけれど、葬儀の席で親せき一同が、朝が実里の実子ではないらしいなどの噂話や責任の押し付け合いを、朝本人の目の前でやるのを見かねて彼女に声をかける

「あなたは 
  15歳の子供は

 こんな醜悪な場にふさわしくない
 少なくともわたしはそれを知っている

 もっと美しいものを受けるに値する」

「わたしは大体不機嫌だし あなたを愛せるかわからない」

「でも」

「わたしは決してあなたを踏みにじらない」

「それでよければ明日も明後日もずっとうちに帰ってきなさい」

真っ当な(でも親戚の中でははみ出し者の)大人の真っ当なセリフにしびれます。
『(15歳の子供は)もっと美しいものを受けるに値する』という感覚、好きだなあ。。。


でも、こんなカッコイイ言葉で朝を引き取った男前な(女性)槙生ですが、彼女自身も沢山の傷を抱えているのか、人間関係に対して恐れを抱いている様子。後日「15歳みたいなやわらかい年頃 きっとわたしのうかつな一言で人生が変えられてしまう」「怖い」と友人に告白しています。

繊細で不器用な大人と、傷ついているのにまだそれを受け入れられてもいない少女の不器用な二人暮らし。
まだ1巻しか出ていないので、今後どういう展開になって行くのかまったく未知数ですが、面白くなっていくに違いないという予感がします。
次巻が楽しみ。





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by vitablommor | 2018-01-31 09:43 | 本・CD・DVD | Comments(0)

異文化の面白さ

みなさんにはイスラム教徒の友人がいますか?私はいません。
イスラム教徒だけじゃなくて、ヒンズー教徒もいなければキリスト教徒の友人も今はいないなあ~。学生の時は「一応、クリスチャン」って言ってた人が二人いたけど(実家がクリスチャンなので生まれてすぐ洗礼を受けたけど、本人は特に教会に通ったりはしていないとのことで「一応」らしい)。あ、お寺の息子(継いだ)とお寺に嫁いだ人が友達にいるので、仏教徒の友はいると言えよう。
そういえば会社の先輩のご実家が神社で、その方のお父さまが亡くなられた時、お葬式に行くことになった上司が「神道の葬儀の作法ってどんなんだ?!」って慌てていたこともあったっけ・・・。

私はこんな感じですが、同じように日本人が日本で暮らしていると、日常あまり宗教や信仰について意識することはないと言う人がほとんどなのではないでしょうか?
そんな、日本の普通の女の子であるサトコが、アメリカ留学中にサウジアラビア出身のイスラム教徒の女の子ナダとルームシェアすることになり・・・というこのマンガ、すごくよかったです。

サトコとナダ 1 (星海社COMICS)

ユペチカ/講談社


イスラム教徒の女性って、人前で肌を見せることを禁じられていたり、サッカー観戦できないとか、免許が取れないとか色々断片的に聞いたことがあって、これらのことは「女性を守るため」との考え方からきているんだと聞くけれど、「守る」という言葉を使いながらその実すごく虐げられているってイメージだったのですが、これを読んだら少し考えが変わりました。

たとえば漫画にあるエピソードで、サトコとナダの友人であるアメリカ人の女の子ミラクルは、全身を覆い隠す服装のムスリムの女性たちを見てサトコに
「あの人たち、みんなああして隠さなければならないのかしら かわいそうね」
と言うのだけど、ムスリム女性であるナダは逆にアメリカ人女性のビキニ姿のポスターを見て
「こんな格好でよく写れるわね かわいそうに」
って言うんですよね。
私は最初、ナダの言うほうの「かわいそう」にはピンとこなかったんですけど、ナダは別のシーンでサトコに
「ニカブ(目の所以外を全部覆うイスラム女性の民族衣装)を着るってどんな感じ?」と聞かれて
「もちろんこれを着てるとムスリムとして対応されてしまうわね」
「でも…女として対応を変えられることはないの」
「綺麗な人が得をする世界でしょう ここは」
と答えていて。。。
つまり先ほどの水着女性は、ナダから見ると、『男性にとってより魅力的なセックスシンボルであることを求められ、優劣をつけられる世界で生きている女性』⇒「かわいそう」なのかなと。

立場が違えば物事の見方が変わる、というけれど、文化に根差したものの見方の違いは時に想像を超えるし、当たり前のように感じていたものをあらためて考えてみる機会になるのだなあと感じました。
昨今は異文化を排斥する動きが世界中で見られますが、なんとかサトコとナダみたいに、文化は全然違うけど友達にはなれるよ、って感じになって行ってほしいなあと思います。

ちょっと硬い話になってしまいましたが、マンガ自体はとてもほのぼのした雰囲気で、読みやすくて面白かったですよ。
おすすめです。




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by vitablommor | 2018-01-30 11:40 | 本・CD・DVD | Comments(0)

怖いと思うもの

何を怖いと感じるか、というのは人によって大分差があるような気がします。

前記事で私は鳥が好きだって書きましたが、鳥が嫌い、怖いって言う人も何人か知っています。
彼ら彼女らにどこが怖いのかと問うと、足が気持ち悪いと言う人と、くちばしが怖いと言う人と、目が怖いと言う人がいて、同じ「怖い」でもその内容には差があるようです。
一方で私は鯉が怖い。特に公園などで人が近寄ると餌をもらえると思っている集団。大軍で水面に顔を出して超貪欲に口をぱくぱくさせているあの形相に恐怖を感じてしまうのですが、人々はそんな鯉たちに楽しそうに餌を投げています。

穂村弘さんは、いろんなことが怖い人、日常の小さい歪みの中に怖さを見つけてしまう人、のようです。

鳥肌が

穂村 弘/PHP研究所

駅のホームで先頭に並ぶのが怖い、などの想像しやすい恐怖や、旅先のホテルやドライブ中などの恐怖体験、さらには友達の再婚相手の顔が前の奥さんにそっくりだったとき、友達の家に遊びに行ったときの家の匂いの違い、などに感じるもやもやした思いなど、日常の中で、ふと怖くなる瞬間について語った短編エッセイ集。読みやすくて面白かったです。

個人的には『自分フラグ』という文章がツボ。自分がいつか何かとんでもないことをしでかすのではないか、という恐怖、たとえば演劇を見ていて、自分がふいに何かしてしまって(奇声をあげるとか、舞台に駆け上がるとか)舞台をぶち壊すのではないかと思ったり、「赤ちゃん、抱っこしてみます?」と言われたときに、もしかしたら抱っこしてそのまま窓からぽいっと捨てちゃうかもしれない、と思ったりして怖くなるという話。なんでだろう?わかる!この感覚わかる!

この本の表紙カバーにはタイトルに合わせて鳥肌状のぽつぽつとした凸が作ってあって、ちょっと怖いので触らないように注意して持っていましたが、それでも時々手が触れてしまってそのたびに少しぞわっとしました。
祖父江慎さんの装丁。
やはり、というか、さすが、というか。



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by vitablommor | 2018-01-29 11:00 | 本・CD・DVD | Comments(0)

鳥好き

猫派か犬派かという問いには、私は鳥派と答えようと思う。

子どもの頃、実家で小鳥を飼っていたので鳥は好きです。
つがいで飼っていた十姉妹は人間(私)など眼中にないようでしたが、単独飼いのインコや文鳥はよく慣れて遊んでくれました。
あのふかふかの羽毛、つややかな嘴、下から上に閉じるまぶたも、鳥嫌いの人が「ぎゃーっ!」ていう足指や爪も愛らしい。猫とちがってトイレを覚えるってことがないのが困りものですが、ご縁があればまた飼ってみたいと思っています。
そういえばユニバーサルホームのCMに出てくる小さいフクロウ(コキンメフクロウ)もかわいくて飼ってみたいと思ったのですが、調べるとやっぱり小さくても猛禽類、餌には冷凍ネズミが必要なようで、うちの冷凍庫にタッパーに入ったネズミがずらーっと・・・という光景を想像してやめました。


『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ』というタイトルですが、この先生、めっちゃ鳥好きです。

鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。

川上 和人/新潮社

呼吸するたびに口と鼻が大量のコバエだらけになってしまうような環境でフィールドワークしたり、おやつタイムにチョコボールのキャラクター『キョロちゃん』が肉食なのか果実食なのかを推理したり、よっぽど好きじゃなきゃ絶対やらない。
そんな、鳥大好きな川上先生が、鳥について、鳥類学研究のための過酷なフィールドワークについて、絶滅危惧種を救うためにやってきたさまざまな活動について、また、クマに襲われたとき死んだふりをすることの効果について?すごい勢いで語りつくした本。

理系の学者さんの本なのですが、落語家か?って思うくらいに文章が面白いです。
正直私はウグイスとハシナガウグイスのどちらが亜種でどちらが基亜種でもどっちでもいいのですが、そんな風にそれほど興味のない話題でも、語り口の巧みさで読ませてしまう力技。お見事。

全編にわたって「鳥が好きー!」という熱が伝わってくるのですが、やはり研究者でいらっしゃるので、フィールドワークでは鳥を捕まえて殺して剥製を作ったりするわけで、うう、理系の学問と言うのはいろいろ厳しいなあと思ったりもしました。
研究の対象としての「鳥好き」と愛玩の対象としての「鳥好き」は相容れない部分が多いんですね。



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by vitablommor | 2018-01-25 12:48 | 本・CD・DVD | Comments(0)

レゲエとマトリックスはすごいらしい

各種「引き寄せ」本がヒットしてる昨今ですね。
年末にスケジュール帳を探していたら「願いを叶える」ノートなんてものも発見しました。
「思考は現実化する」って聞くと、それが本当ならすごくいいじゃん!と思うかもしれませんが、案外これネガティブな思考の方が現実化しやすいらしいですから(「壊れたら嫌だなあ」って思っているものほど壊れる、とかね)、実は結構恐ろしいことのような気もしますよ。

この本も言ってみればそういう「思考の現実化」について書かれた本です

悪魔とのおしゃべり

さとう みつろう/サンマーク出版

「お金持ちになりたい!」と願えば「お金持ちになりたい!」(という状態⇒つまりお金が不足している状態)が叶う…っていうかもう目の前で叶っている。
「彼女が欲しい!」と願えば「彼女が欲しい!」(という状態⇒つまり今彼女がいない)が目の前で叶っている。
・・・という。
なんだそれ?って感じですが、私が知る限り引き寄せ本って大抵こんな感じのことが書いてあると思います。
なので「もう叶っている」と思い込むことが大事(つまり「私はお金持ち!」と信じ込むとかね)、ってよく書かれていますが、そうそう簡単に自分の脳を騙せるかって話ですよね。「私はお金持ち!」と何百回唱えようと、心の底から信じてないと引き寄せられないそうなので。

そんな話はもう何十回と聞いてるんだよ、その先を教えてよ!って感じになりながら読み進めました。
ちなみにこの本、「悪魔とのおしゃべり」というタイトル通り、主人公と悪魔との(時には友達との)対話形式で進んで行きます。なので一見とっつきやすく読みやすいのですが、実は結構難しい話(哲学対話っぽいんだけど、実は量子力学とか素粒子物理学の分野らしい)も展開されるので、主人公たちか会話しながら「そうか!」「なるほど!」「わかった!」とテンポよく理解していくのと同じペースで理解するのは難しかったです。

「世界」と「私」はもともとひとつのものが二つに分かれた状態で、だから、「私」にあるものは「世界」の側にはない(見えない)んですって。だから私たちが外の世界を感じるセンサーである五感で感じられないものが、実は「私」と伴にあるものなんですって。
わかります?ちょっと難しいですよね?

で、こういった世界のしくみについて「引き寄せ」本なんかが出るずっと前に理解して表現していたのが、レゲエ(ボブ・マーリー)と映画「マトリックス」らしいですよ。正直、読んでいて一番「へー」と思って面白かったのはこのレゲエとマトリックスの繋がりの部分だったかも。


という感じで、一読して体感的にスッと腑に落ちる感じにはなれませんでした。
でも、結局言ってることが『スピリチュアルかあさん』とそっくりだな~と思いました。
物理学だろうがスピリチュアルだろうがレゲエだろうが結論は同じってこと?!
ってことになると、なんだかそこには何かしら本当のことがあるような気がします。




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by vitablommor | 2018-01-24 08:55 | 本・CD・DVD | Comments(0)

ダメが売りになる

作家って言うのは「ダメ」が売りになる稀有な職業なのではないか、と思うことがあります。
世間の人と同じようにできない、同じようにしなくてはと思ったり、同じようにしているつもりなのにいつの間にかずれている。
このズレについて気が付いていることが肝要で、気が付きもしないし気にもしないような天才は、文章家にはならずに別の方面での芸術家になる気がします。
世間とズレている自分に悩んだり、その実「ちょっと違う私」に対する選民思想めいた自尊心があったりまたそれを傷つけられたり、そういうズレや自意識が作品になっている例えば太宰のような人。でも不思議なことに世間からどうしてもずれてしまうそのありさまを書いた作品が「まるで自分のことだ」と多くの人に思われているのですから、案外世間なんてまぼろしなのかもしれません。

女性作家二人による、「ダメをみがく」というタイトルの対談集、面白かったです。

ダメをみがく―“女子”の呪いを解く方法

津村 記久子,深澤 真紀/紀伊國屋書店

10歳違いのお二人ですが、奇しくもお二人とも最初に入った会社で上司のパワハラに遭い、逃げるように退社したという経験を持ち、「相性の悪い人間関係は逃げた方がお互いのためである」「逃げていい」と言い切ります。
社会で成功してやる!というガッツがあふれている方向きの本ではないです。むしろその時その時の仕事をなんとか工夫して「しのいで」いくことをすすめる本であり、自分の中にダメな部分があってもいいし、それが他人にバレてもいい、自分もダメだから他人のダメも生温かい目で見守って、ゆるい人間関係の中で世間を泳いでいこうよという感じの本。でも語り手の二人、多分めちゃくちゃガッツありそうな人たちですけどね。
既婚未婚の差はあれど子どもを持たないお二人が「子どもを持ってない人にはわからない」というマウンティングに対して「でもマザー・テレサも子どもおらんかったで」って返すのはどうだろう?と話し合っているくだりは笑えました。
こういうセリフを言う人は他人を使ってガス抜きをしたいだけなのだから、そう言う奴からはとにかく逃げるべし。

自分の中のダメを赦しつつそのまま抱えつつ、女はこうじゃないといけないとかの呪いをかけてくる他人から全力で逃げながら、幸せにいきていくためのヒントがある本でした。



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by vitablommor | 2018-01-23 08:21 | 本・CD・DVD | Comments(2)

雪花の虎

『〇〇は実は女だった』系の話って昔から結構ありますよね。『女信長』ものは多いですし、大分昔ですが『マドモワゼル・モーツアルト』というマンガもあったし、新選組の沖田が女という設定の舞台もあった。

マンガの設定としてだけじゃなくて、実際に「あの歴史上の人物は実は女性だったのでは?」という『実は女性説』がある歴史上の人物と言うのもあるようでー

これはその、上杉謙信女性説を基にした歴史漫画です。これ一押しです!

雪花の虎(1) (ビッグコミックス)

東村アキコ/小学館

東村アキコさんと言えば、『海月姫』が映画に続いてドラマ化されていて話題ですね。その前には『東京タラレバ娘』も『主に泣いています』もドラマ化されました。(いずれも観ていませんが)
でも、これらのドラマ化された漫画たちよりも、『かくかくしかじか』や、この『雪花の虎』のような、ドラマ化されないであろうお話(というかドラマ化されないでほしい)の方が、東村さん本来の絵の美しさや漫画家としての力量がより発揮されているような気がします。なにしろ丁寧に描かれています。

私は歴史には本当に疎くて、誰と誰が同時代の人かもよくわからない状態なのですが、そんな歴史音痴でも、このマンガは楽しめました。
歴史物が苦手な方は(私も含め)、込み入った説明的シーンになるとどうしてもめんどくさくて読む気がしなくなって挫折・・・というパターンになりがちかと思いますが、このマンガではそんな読者のために、小難しい歴史話の段になるとページの下半分が『アキコのティータイム』というワープゾーンに。

「雪花の虎 1巻」 東村アキコ P6-7 (ヒバナ)

真面目で難しいページ上部分を読まなくても、ワープゾーンでその内容をゆる~くざっくり説明してもらいつつ、無理なくストーリーに戻っていけるという親切設計になっています(1巻2巻くらいまではちょいちょいでてきますが、その後は少なくなっていってます)

作者の東村さんが、上杉謙信について調べれば調べるほど「ぶっちゃけめっちゃかっこいいよな、この人の人生って」「めっちゃくちゃ めっちゃくちゃかっこいいよな」と惚れ込んだという謙信の魅力が、主人公「虎」のキャラクターにしっかり投影されています。キレイで聡明でめっちゃくちゃかっこいい!
姫武将として育てられ、時に女性であることに苦悩し、望まない家督争いに巻き込まれながら、愛する家族や越後の国を守るために最善の決断をして進んで行く虎の生きざまに惹きつけられます。

現在5巻まで刊行中。
おすすめ。ぜひ。

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by vitablommor | 2018-01-22 10:48 | 本・CD・DVD | Comments(0)

女子校育ち

小学校から大学まで男女共学の学校で過ごしたので、女子校ってものにちょっと憧れがあります。
女子寮とかも、同世代の方だとわかってもらえるかな?氷室冴子さんの『クララ白書』『アグネス白書』とか読んでは憧れていました。『聖ナントカ女学園』的お嬢様学校なんて、本当に心から憧れます。いいよね、寮も『寄宿舎』とか呼ぶんだよね、いいよね~♡


先日の雨宮まみさんの『女子をこじらせて』のすぐ後に、実はこちらの本を読んでいました。

([し]10-1)私たちがプロポーズされないのには、101の (ポプラ文庫)

ジェーンスー/ポプラ社

ジェーン・スーさんの本はほかにも何冊か読んだことがあるのですが、おそらくこの方もなかなかの「こじらせ系女子」と言えるのではないでしょうか。
小さい時から大柄で、周囲の大人から「かわいい」と言ってもらえたことが無い。「かわいい」は常に自分以外の誰かの物で、自分はそれをもらえる立場ではないと認識し、以後「かわいい」を徹底的に拒否するようになったジェーン・スーさん。「あなたにピンクは似合わない」と母に言われ「ピンクに選ばれなかった」少女時代以降、ピンクなんて「あんなものは従属的で、脇の甘い女が好む色だ」と徹底的にピンクを嫌い、携帯メールのかわいい絵文字に抵抗がありすぎて使えず、大人になって誰かに「かわいいね」なんて言われようものなら「馬鹿にするな」と拒絶するような女性へと成長されたそうです(わかる!私もピンクの似合わない大柄な子どもでした)。これもまた一種の「こじらせ」と言えるでしょう。

「わたしは可愛くないんだ」と認識するところまでは雨宮さんのパターンと似ているのですが、その後が決定的に違っています。
「かわいくなくてすみません」的発想にならなかった。「かわいくない?上等だぁ!『かわいい』なんてこっちから願い下げだよ!」とファイティングポーズを決めた。その背景には、彼女が東京育ちで女子校出身であったことが強く影響しているのではないかと思います。
思春期に異性目線で浴びせられる評価をあまり意識しないですむし、共学校では当時普通にあった男女での役割の棲み分け(男子が委員長で女子は副委員みたいな)もなく、ぜんぶの役割を女子がやる、それが女子校。なので、女子校出身者は共学校出身の女性よりもバイタリティや自立心に富み、企業家などが多いとも聞きます。やっぱりいいな、女子校。

男に従属しない自立した女性としてバリバリ仕事をこなし、ふがいない男性社員を叱り飛ばし、女友達との時間を楽しみ、独身生活が充実しすぎて結婚できないまま中年になっちゃったよ、アハハ、彼氏もいたのになんでかな~?と、その理由を、独身女子の仲間と話したことがきっかけでできたのがこの本『私たちがプロポーズされないのには101の理由があってだな』です。

本当にちゃんと101の項目があって、大体1~2ページずつの短い文章でそれぞれの項目に対する解説があります。自分や女友達の経験を少々自虐気味に振り返って語られる文章が小気味よく、読んでいて楽しいです。
アラサ―時代は本気で結婚したいと思ったこともあったようなのですが、結局は女子校育ちで培った自立心と、面倒くさい男心の把握が無意識レベルでできていないというハンデ、さらに幼少期から培ったこじらせ気味の自意識から、男がプロポーズしたくなるような「かわいい女」になりきれなかったのよね、という感じの話をケロリと笑って話してくれます。
でも実は自立心が強くて仕事もできて女友達もたくさんいて、ってなると、今の生活レベルを下げたくないし、他人のペースに合わせたくもないし、独身生活が楽しすぎて手離せなくなってるんだよね~~~という本音が見える。見えすぎる。

スーさんの世代は「女は結婚して子供産むのが当たり前」という呪縛が残る世代の最後尾であり、同時に女性が結婚しなくても生きていけるようになった世代の最前列でもあるので、「結婚」に対するジレンマを抱えがちのような気がします。
そこで「なんで私は結婚できないの」と自己評価を下げるのではなく、「結婚、しなきゃねえ、、、ぷぷっ」と明るくいられるのは、やっぱり心強い独身女子友達が近くに沢山いるからだと思う。そんなわけなので同じ女子校出身でも、高校大学時代の友達と距離的に離れることなくそのまま就職できる東京近郊育ちは、定期的に会える女友達が多くて本当に心理的にラクに独身女子生活を謳歌できることだろうと思います。都会育ちってやっぱりいろいろ有利(有利っていうのも何だが…)。田舎よりも古い考え方の圧が強くないし。

すっかり大人になってからは、周囲からの「かわいいね」という言葉も受け入れられるようになったし、自分に似合うピンクもあるのだと「ピンクとの和解」も済ませたジェーン・スーさん、彼女のバイタリティなら本当に独身老女専用マンション(『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』参照)を運営することもできそうです。できればそこまで見届けたい、で、そのとき一人だったら私も入りたいです。



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by vitablommor | 2018-01-20 08:53 | 本・CD・DVD | Comments(2)

本屋さんになりたい

子どもの頃から本が好きで、本に囲まれた暮らしをしたいと思っていました。
その割に本屋さんや図書館への就職について考えなかった。出版業界への就職についてはチラッと考えたこともありますが、ちょっと調べただけで超エリートの集まりなんだとすぐに理解して「はいはい無理無理」って選択肢から除外しました。(大手出版社でなければまだ道はあったかもしれないと今なら思いますが)
高校時代の友人が大学で図書館司書の資格をとって地元の県立図書館に就職したのを知った時は「あぁ!そういう道を何で私は思いつかなかったのか?!」と自分の考えのなさを呪いました。
司書や本屋さんや編集者じゃなくても、本に関する仕事って実は色々あるんですよね。そういうことに私はだいぶ大人になってからでないと気付きませんでした。テレビやその他のメディアを通じていろんな仕事を知って、知るたびに「そんな仕事があったのかー!」とショックを受け、つくづく自分の世界の狭さと人生設計の甘さにがっかりすることも度々。
私が13歳の時に『13歳のハローワーク』が出版されていれば、もっと早くに気づいたかもしれないのにっ…!!


そんなわけで『桜風堂ものがたり』は本屋さんの話です

桜風堂ものがたり

村山 早紀/PHP研究所

昨年の本屋大賞にノミネートされていましたね。かわいらしい表紙イラストも含め、印象としては『活版印刷三日月堂』と似ていますので、『三日月堂』がお好きな方なら間違いなく好きだと思います。

万引き事件をきっかけに勤めていた本屋を退職せざるを得なくなった主人公の青年と、その周囲の、本を愛する優しい人たちの物語。
主人公は幼いころに病気で母を、事故で父と姉を失ってとても孤独に生きてきて、優しいんだけど他人にあまり心を開かない青年に成長したのですが、本を通じて繋がったいろんな人たちは、そういう心を開かない、開けないことも含めて、意外にみんな彼のことを理解して愛して見守ってくれているんですよね。人って孤独なつもりでいても、気づけば周りに差しのべられた手はいつでもあるのかもしれないなあと、温かい気持ちになる本でした。

主人公が本屋さんなので、憧れの本屋さんの仕事についても色々知ることが出来ました。
最近、5年くらい前に出版された本を探しに行くことが何回かあって、そこで気づいたのですが、人気のある有名作家さんのものやロングセラーの有名な本でもなければ、出版年の古い本って本屋さんにはないことが多いのね。毎月新しい本が出るのに本屋さんの棚面積は限りがあるので入れ替えが必要なのは当然だけど、そもそも本には(雑誌以外でも)返却期限があって、それを過ぎると本屋さんの買い取りになるから、ある程度の期間売れなかった本は版元に返却することになっているというのをこの本で知って「そういうわけかー!」と得心しました。
書店員さんはそれぞれ担当の棚があって、毎月沢山出版される本のうち、どれを何冊仕入れるか、どういう風に並べてどの本を押すか、というのを決めるのもその担当書店員さんの役目なんだそうで、思ったより責任重大。でも思った以上に工夫しがいのある面白みのあるお仕事だなあとますます憧れがつのります。
そういえば私がよく行く何軒かの本屋さん、売れ筋の本はもちろんどこも押さえてありますが、その他のラインナップにそれぞれ個性があり、知らず知らず「この本ならあそこのお店にありそう」とこちらも勘を働かせて探しに行きます。あれは書店員さんの個性なんですね。自分好みの本が多くある本屋さんだと、どの人が担当されてるの?と今後気になりそうです。


最近は雑誌でも本でもweb版での出版も増えてるし、ネット書店もあるし、新古書店もあるし、出版不況と言われて久しいし、紙の本を扱う業界には厳しい時代なのかなと思います。せめて文庫だけは図書館で貸し出ししないでほしいと文芸春秋社が要請したことが昨年ニュースになって、結構批判されていましたが、なんか出版社側の気持ちもわかるよぅ~(泣)。
小さい書店が閉店する話もよく聞くけれど、町に本屋さんがなくなるなんて本当に寂しいことだと思う。聞いた話だと万引き被害での損失が大きくて閉店する場合もあるんですって。1冊盗まれたら5冊(本の粗利益率によってはそれ以上)売らないとその損害を取り戻せないそうです。万引きダメ、絶対。

本にまつわる仕事には就かなかったけれど、ありがたいことに本がいつでも身近にある生活はできています。図書館もネット書店も新古書店も利用しますが、町の本屋さんの灯がいつまでもあるように、なるべく近所の本屋さんで本を買うということも、意識的にやっていきたいと思うのです。




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by vitablommor | 2018-01-19 08:44 | 本・CD・DVD | Comments(0)

こじらせを抱いて世界を泳ぐ

うう~む。。。。。
私は先日今更ながら読んだこの本を、是非是非もっといろんな方に読んでほしいのですが、だから紹介したいのですが、でもこの本についてあんまり語りたくない。これはこういう本です、ってひとことで言えないし言ってしまいたくない、というこの矛盾した感情をどうしよう。。。と思いながら、でも書きます。

女子をこじらせて (幻冬舎文庫)

雨宮 まみ/幻冬舎

雨宮まみさんが、自分の人生と激しく痛い自意識を本気でさらけ出した本でした。

「雨宮まみ」って画像検索して出てくる写真を見ると、雨宮さんはとても美人さんなのですが、思春期から20代前半にかけてニキビがひどく、それがとてもコンプレックスだったそうです。
自分はひどいブスで、だから女子のカースト最下層で、こんなブスにはおしゃれなんてする資格ないししてもきっと嗤われると思い、こんなブスが男の子を好きになったとしても相手から気持ち悪いって思われるんだろうなと、自分の『女』としての商品価値の低さを自分で判断して自分で傷つき、自己否定に走りまくって「女子をこじらせて」いく10代の雨宮さんのこの感じ、正直わかる。

程度の差はあれほとんどの女性は自分の容姿に何かしらのコンプレックスを持っているだろうし、それが思春期ならもう本当に無駄に強烈だったりすると思う。周囲が美人の友人と接するときと自分と接するときとの態度の差にムカッとしつつも、「まあ彼女は美人(で自分はブス)だから、こうなるのも仕方ないよなあ」ってどこかで思ってしまったり。
ここで「相手次第で態度を変えるなんて失礼よ!」って怒っていいんですけど、そうやってプンスカ怒れるのってやっぱり自尊感情が普通に高い人なんですよ、あまりにも自己評価が低いと怒ることさえもできないんですよね。また別の反応として「じゃあ私もかわいくなってやる!」って憤然と化粧やファッションを研究したり、ダイエットを始めたりする人もいると思うし、それはとても健全な反応で素晴らしい。そういう人はこじらせたりしない!けど、やっぱりあまりにも自己評価が低いと、「私ごときがちょっと努力すればかわいくなれるなんて思うこと自体がおこがましい」となってしまったりするんです。「その必死の努力が見苦しいんじゃないか」とかね。もうこのへんがこじらせの素。
自己評価は低いけどそれでもなけなしのプライドくらいあるんです。容姿を侮辱されるだけでも普通にキツイのに、それをなんとかしようと足掻く姿を「無駄な努力しちゃってさ」と嘲笑されるのはもっとツライ。あ~~~~~っ、キツーーーーイ!!!


20代半ばになってニキビがすっかり治った雨宮さんは、女性では珍しいAVライターとして所謂エロ業界で仕事をしていたこともあって、今度は「美人ライター」なんて肩書で呼ばれるようになります。今までずーーーっと「女」としての自分は評価されなかったのに、女とか男とか関係なく仕事で評価されたいと思ってがんばってきたのに、一転して「女」で「美人」を売りにして仕事してるんでしょ?「女はいいよね」と言われるようになり、そのことに苦しめられます。ブスでも美人でも結局「女」に苦しめられるなんて、ああ、もうーーーっ!orz


読んでいて色々キツイのですが、それでもこの本は著者のコンプレックスや鬱屈した欲望やちょっと珍しい経歴を披歴しただけの本ではありません。だからいろんな人に、特にまだ若い人に読んでほしい。私は先に「ほとんどの女性はなんらかの容姿のコンプレックスがあるだろう」と書きましたが、思うに男性だって同じじゃないかな?女性はもしかしたら男性よりも残酷なくらい正直に、カッコイイ男とそうでない男で態度を変えたりするし、思春期の女子なんてもっと残酷で、不細工男子が可愛い女の子をみつめているだけで「キモーい」なんて言ってる気がする。大人になれば男は仕事の出来不出来が評価軸になる、とか言っても、思春期でこんな体験したらそれが傷にならない人なんていないと思う。異性の視線を自分に内在化させて自己否定したことがある人なら男女問わず、この読んでいて痛みを感じるエッセイを、キッツぅ・・・と思いながら読んでみるといいと思う。そしてそれらの傷をかばうために変なポーズで縮こまっていることをやめて、勇気を出してぐいっと顔を上げて世界と向き合った著者の言葉に触れてほしい。


『恥ずかしいとか、自分ごときがずうずうしいとか、それが何なんだと思いました。そんなことを言っていたらずっとこのままだし、このまま死んでしまう。グチと不満で埋め尽くされた人生を、ひんまがった顔で終えるしかない。自分は、まだ何も人生というものを生きていない、自分の思った通りに行動してちゃんと恥をかくこともせず、もしかしたら自分でもまだ知らない才能がどこかに眠っていて誰かがそれを見つけてくれるかもしれないなんて都合のいい夢みたいなことばかり考え、自分の生身の姿をどこかに置いて、真っ直ぐ力を試すことすらしていない。自分はまだ一度も世界に直接触れてはいないんだ、と思いました。』(p.134)


こじらせた自分を抱えたままでも、世界に触れることは出来ます、怖がってガードばかり固めているときには敵の姿しか見えないけれど、思い切って世界に飛び出してみたら、案外身近なところに味方がいることに気づくことができます、と、雨宮さんはこじらせ女子(男子も)の背中をそっと押してくれます。


*思春期の少年少女にも読んでほしいのですが、性的な話も割と赤裸々に描かれていますので、お子様におすすめになる際にはその点をご承知おきください。

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by vitablommor | 2018-01-18 09:33 | 本・CD・DVD | Comments(0)

コサージュや布雑貨の製作、販売をしています。 


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