カテゴリ:本・CD・DVD( 145 )

避けてきたテーマ

『アンネの日記』を読んだことがありません。
『夜と霧』ももちろん。
『海と毒薬』も。
避けてきたのです。

『アドルフに告ぐ』は、ついうっかり読んでしまいました。
今でもちょっとしたトラウマです。でも本当に名作です。
今の時代だからこそ、沢山の方に読んでいただきたい。本当に名作です!(2回言いました)

アドルフに告ぐ 漫画文庫 全5巻完結セット (ビジュアル版) (文春文庫) [マーケットプレイス コミックセット]

手塚 治虫/文藝春秋

でも元気がある時に読むことをお勧めします。こういうのをただのフィクションとして読める方は別ですが、そうでない方はうっかりしてるとダメージ喰らいます。



『アウシュヴィッツ』というタイトルから、本の内容に私が避け続けてきたことが深く関わってくるのがわかっていたので、図書館でこの本と目が合った時は手に取るのを躊躇しました。
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でも結局手に取ってしまった。

最初の方はなかなか読み進まず、アウシュヴィッツの捕虜になった悪夢を見るし、本当に読んでいて辛かった。
私は本に対して変に共感能力が高い所があるので、こういう本にはがっつりダメージを受けてしまいます。
でも途中で読むことを止めるわけにはいきませんでした。だってまた夢に出てきちゃう。
戦争が終わって主人公のディタが生きのびたのを確認するまではやめられない。え?まだ1944年4月?長いよう・・・早く!早く戦争終われ!と思いながら読みました。3日かけて読了。


アウシュヴィッツには国際視察団の目を誤魔化すため(ナチスは捕虜収容所が人道的に運営されていると見せかけており、ユダヤ人捕虜のホロコーストについて国際社会が知ることになるのは戦争末期、アウシュヴィッツからの脱走者による告発でようやく、だったそう)の『家族収容所』があり、その中には子供たちを遊ばせておくための『学校』があり、先生や助手(14歳~16歳の子供たち)が小さい子の面倒を見ていたが、そこでは鉛筆も本も所持は禁止。もし持っているのが見つかったら命はないし、『学校』は即時閉鎖に追い込まれる。
それでも学校には実は8冊の蔵書が隠されており、それらを毎日安全な場所に隠し、服の下に隠し持って運び、貸し出すという命がけの図書係をしているのがディタ。わずか14歳の少女ですが、本がどれほど人に光をもたらすかを知っており、SSに監視される恐怖に震えながらも、誇りと愛情を持って図書係の仕事をやりぬきます。

彼女を取り巻く環境は本当に過酷で読んでいるだけでも辛くなるほど。飢えや乾き、不衛生な環境、いつ訪れるともわからない死の恐怖。そんな地獄で暮らす人々の心は殺伐としており、SSはもちろんのこと、同じ捕虜の中にもレジスタンスもいればナチス側のスパイもいて、誰を信用していいかもわからない。そんな中で心を失わず、真実を求め、自分の中に消えない光を持って生きて行くディタの強さは本当に素晴らしいです。

これ実話なんですって。
もちろん創作部分も入ってはいますが。ディタさんをはじめ多くの登場人物は実在の人物で、収容所にいたSSたちが戦後どうなったかも、作者のあとがきで明らかにされています。

ディタが最後に収容されていた捕虜収容所で、暴力的な女性看守(元美容師でいつもおしゃれな髪型)について、「もし戦争がなかったら、彼女は気のいい街の美容師で、ユダヤ人もドイツ人も区別なく、彼女の美容室で陽気に冗談を言いながらおしゃれなヘアスタイルをセットしてもらったりしていたのではないか」と想像する場面があります。
本当にね、戦争は人を狂わせるよね。それを体感してきた世代の人たちがいなくなっていくのが怖いです。だからこそこういう本が読み継がれていくことが必要なのだと思います。避けてきたけどね。

読んでいて、特に前半部分は辛かったのですが、それでも読む価値のある本、多くの人に読まれるべき本だと思いました。
ぜひ読んでみてください。元気のある時に。


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by vitablommor | 2018-02-13 10:51 | 本・CD・DVD | Comments(0)

やさしさに包まれたなら・・しいたけ占い

ブログを通じて仲良くなった方に教えていただいた『しいたけ占い』
最初「ん?しいたけ?何?」と思ったのですが、ネットで毎週更新されるその占いは、当たるとか当たらないとかじゃなくて(そもそも私は占いは見るけどあんまり覚えていないのでその精度はよくわからない)、とにかく「優しい」!!

あなたはこういうところがあって、それは長所でもあるけど、そのせいでときどき疲れるよね?だから憶えておいてほしいんだけど…、と言う感じで、各星座ごとの特性と、それゆえに困惑しがちなときの心構えなどについて、とにかく優しく、いたわるような言葉で語りかけてくれます。
週間占いと年間占い、さらにブログまで見て、いつも慰められたり励まされたりしているので、これはもう買わなければ、なんか、恩返し的な意味でも?と思って買いました。
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キラキラの表紙が光っちゃってうまく写真撮れなかったな^^;

星座占いの本って、自分のところしか読まないので結局12分の1しか楽しめないなと思うのですが、この本は各星座ごとの占いの後にエッセイのページがあって、そこがよかったです。心がぴりーっと張りつめているときに読むとホントありがたくて沁みる。
しいたけさんは占い師というよりカウンセラーなんじゃないだろうか?

興味のある方は「しいたけ占い」で検索してみてくださいね。





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by vitablommor | 2018-02-09 10:12 | 本・CD・DVD | Comments(2)

田舎で生きるということ

生まれてから18年、超ド級の田舎に暮らしていたので、都会の人が田舎にIターンとか、定年したら田舎暮らししたいとか言ってるのが信じられない!というのが率直な気持ちです。
田舎のひとだから心がきれいで親切、とは限らないし、空気はきれいだけど虫も多いしイノシシも出る、同じ仕事でも都会と田舎じゃ時給が全然違うし、物価に至っては案外田舎の方が高かったりする(家賃は別)。
田舎なんて、田舎なんて暮らしにくいんだよぉぉぉぉぉ・・・・と、思っていましたが、それも人によるのかもしれません。

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まつざきしおりさんが、都会でのOL生活で身も心も疲れ果てて移住を決めた直島は瀬戸内海の小島。最近ではアートの島として有名で、観光客も大勢訪れる場所のようです。
そんなアートの島の古民家カフェに転職なんて、まあお洒落。しかも職場の同僚女子と古民家シェアハウス、あら素敵。

字面だけ見るとおしゃれ感満載、夢の島暮らしですが、その実、住居である古民家は古民家というよりあばら家と言った方がよさそうなボロさで、でっかい蜘蛛は出るし隙間風はすさまじいし、夜になると近所にイノシシも出るようなかなり本気度の高い田舎であるらしい。島なのでネット通販を利用しようにも送料がバカ高いし、カフェ仕事の時給も安い。島民は親切でやさしいけれど、誰と誰が付き合ってるだのの噂話は光の速さで伝わるし、しかも根も葉もない噂も飛び交いがち・・・。観光地化されているとはいえ、私の知っている「田舎」の要素がいっぱいのこの土地で、しおりさんは確実に根を張り、今までの都会暮らしでは見つけられなかった自分の居場所を見つけていきます。

田舎を出たくて出たくてたまらなくて、大学で実家を出て以来、都会での会社員生活がどれほど辛くてくたくたになろうとも、絶対に田舎に帰ろうとは思わなかった私でさえも、直島の風景やしおりさんと島の人たちの交流の様子を見ていると、「こういう所でこそ人は人間らしい暮らしができるのではないか(しかもカフェもあっておしゃれだし)」というなんだかドリーミングな気持ちがむくむくと湧き上がってきます。

とはいえ本気の田舎を知る私。都会の生活でボロボロになった時、島に移住しようという決断をできてよかったねえ、と、しおりさんの行動を言祝ぎつつ、徒歩圏内にコンビニがある暮らしをこれからも続けたいと思うのです。






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by vitablommor | 2018-02-05 17:46 | 本・CD・DVD | Comments(0)

生きのびるための知恵

『マスターキートン』を実写化するなら(ぜひやらないでおいていただきたいけど)、キートンは堺雅人さんかなあ、とふと考えました。
マスターキートン好きです。

なかでも好きなエピソードは『砂漠のカーリマン』、遺跡発掘の過程である部族の怒りを買って、水も食べ物もなく着の身着のままで灼熱のタクラマカン砂漠(ウイグル語で「生きては戻れぬ砂漠」という意味なんだそう)に放り出されたキートン一行が、サバイバル技術を駆使して生きのびる話。
砂漠でのスーツの機能性、真水の作り方、喉が渇いた時に小石をなめると唾液が出るので渇きが収まる、などなど、「おお~!」というサバイバル知識が盛りだくさんで読んでいて興奮しました。絶望的かと思われる場面で光るキートンの知識と技術と決して諦めずに平常心を保つ心の強さに惚れる。ラストの「水を飲ませてやれ。あいつはカーリマンだ」にも痺れます!ううっ。。


そんなわけでサバイバル技術には関心があります。それを駆使するような場面には絶対遭遇したくないけどね!
これで雄牛が向かってきたときも、サメが向かってきたときも、走る電車の屋根を歩いて移動することになったときも、私は適切な行動がとれるはずです。雪崩に巻き込まれて雪に埋まった時には唾液を垂らしてみて上下を確認するということも覚えたよ。スキーもスノボもしないけど。
あと、山で遭難して夜を明かすときは、谷底じゃなくて中腹に場所を確保すべしというのは大事な知識。川などを求めて谷に下りがちだけれど、谷は冷気がたまるので一番冷えるんだそうです。昼間は捜索ヘリに発見されやすいように尾根を歩いて移動することも憶えておこう、登山しないけど。
このほかにも「小包爆弾が送られてきたとき」や「走るバイクから車に乗り移る方法」など、様々なサバイバル知識が学べる一冊。
このシリーズ人気があるみたいで「旅先サバイバル編」や「ゴルフ場サバイバル編」、果ては「恋愛サバイバル編」?まで出ているようです。

生きる力、って大事ですよね。


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by vitablommor | 2018-02-01 09:36 | 本・CD・DVD | Comments(0)

真っ当な大人

両親を亡くした子供が親戚の中で盥回しになりそうなところを、縁の遠い独身の大人が引き取るー という設定。
記憶に新しいのは大ヒットしたドラマ『マルモのおきて』、マンガだと『うさぎドロップス』、『海街ダイアリー』など。
いずれも、その子を引き取らなければならない立場ってわけではなかった人たちが、その子のことを考えたら自分が引き取らないではいられなかった、というところからのスタートです。

『大人って子供を守るもんだろう』という、至極真っ当な判断が最初になされている、この時点で視聴者あるいは読者は、物語のその後は温かいものになるだろうと予感し、安心できる気がします。
『マルモ』と『うさぎ』は小学生の子どもを引き取るお話なので、思春期まっただ中の女の子を引き取る『海街』とは雰囲気が大分異なります(『うさぎ』では小学生だったリンちゃんが成長して大人になるまで描き切ってますが)が、いずれにせよ真っ当な大人が中心にいてくれるという世界観は、私たちを安心させますね。

『違国日記』は『海街』同様、中学生の女の子を引き取る話。繊細な雰囲気は『海街』に重なる部分も多いです。

違国日記(1) (FEEL COMICS swing)

ヤマシタトモコ/祥伝社

両親を突然の事故で亡くし、まだ「悲しい」という感情すら抱けないで「ぽつーん」「ぽかーん」としている15歳の少女「朝」を引き取ったのは、朝の叔母「槙生」
仲の悪かった姉「実里」の子である朝とはほとんど会ったこともなかったし思い入れもないのだけれど、葬儀の席で親せき一同が、朝が実里の実子ではないらしいなどの噂話や責任の押し付け合いを、朝本人の目の前でやるのを見かねて彼女に声をかける

「あなたは 
  15歳の子供は

 こんな醜悪な場にふさわしくない
 少なくともわたしはそれを知っている

 もっと美しいものを受けるに値する」

「わたしは大体不機嫌だし あなたを愛せるかわからない」

「でも」

「わたしは決してあなたを踏みにじらない」

「それでよければ明日も明後日もずっとうちに帰ってきなさい」

真っ当な(でも親戚の中でははみ出し者の)大人の真っ当なセリフにしびれます。
『(15歳の子供は)もっと美しいものを受けるに値する』という感覚、好きだなあ。。。


でも、こんなカッコイイ言葉で朝を引き取った男前な(女性)槙生ですが、彼女自身も沢山の傷を抱えているのか、人間関係に対して恐れを抱いている様子。後日「15歳みたいなやわらかい年頃 きっとわたしのうかつな一言で人生が変えられてしまう」「怖い」と友人に告白しています。

繊細で不器用な大人と、傷ついているのにまだそれを受け入れられてもいない少女の不器用な二人暮らし。
まだ1巻しか出ていないので、今後どういう展開になって行くのかまったく未知数ですが、面白くなっていくに違いないという予感がします。
次巻が楽しみ。





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by vitablommor | 2018-01-31 09:43 | 本・CD・DVD | Comments(0)

異文化の面白さ

みなさんにはイスラム教徒の友人がいますか?私はいません。
イスラム教徒だけじゃなくて、ヒンズー教徒もいなければキリスト教徒の友人も今はいないなあ~。学生の時は「一応、クリスチャン」って言ってた人が二人いたけど(実家がクリスチャンなので生まれてすぐ洗礼を受けたけど、本人は特に教会に通ったりはしていないとのことで「一応」らしい)。あ、お寺の息子(継いだ)とお寺に嫁いだ人が友達にいるので、仏教徒の友はいると言えよう。
そういえば会社の先輩のご実家が神社で、その方のお父さまが亡くなられた時、お葬式に行くことになった上司が「神道の葬儀の作法ってどんなんだ?!」って慌てていたこともあったっけ・・・。

私はこんな感じですが、同じように日本人が日本で暮らしていると、日常あまり宗教や信仰について意識することはないと言う人がほとんどなのではないでしょうか?
そんな、日本の普通の女の子であるサトコが、アメリカ留学中にサウジアラビア出身のイスラム教徒の女の子ナダとルームシェアすることになり・・・というこのマンガ、すごくよかったです。

サトコとナダ 1 (星海社COMICS)

ユペチカ/講談社


イスラム教徒の女性って、人前で肌を見せることを禁じられていたり、サッカー観戦できないとか、免許が取れないとか色々断片的に聞いたことがあって、これらのことは「女性を守るため」との考え方からきているんだと聞くけれど、「守る」という言葉を使いながらその実すごく虐げられているってイメージだったのですが、これを読んだら少し考えが変わりました。

たとえば漫画にあるエピソードで、サトコとナダの友人であるアメリカ人の女の子ミラクルは、全身を覆い隠す服装のムスリムの女性たちを見てサトコに
「あの人たち、みんなああして隠さなければならないのかしら かわいそうね」
と言うのだけど、ムスリム女性であるナダは逆にアメリカ人女性のビキニ姿のポスターを見て
「こんな格好でよく写れるわね かわいそうに」
って言うんですよね。
私は最初、ナダの言うほうの「かわいそう」にはピンとこなかったんですけど、ナダは別のシーンでサトコに
「ニカブ(目の所以外を全部覆うイスラム女性の民族衣装)を着るってどんな感じ?」と聞かれて
「もちろんこれを着てるとムスリムとして対応されてしまうわね」
「でも…女として対応を変えられることはないの」
「綺麗な人が得をする世界でしょう ここは」
と答えていて。。。
つまり先ほどの水着女性は、ナダから見ると、『男性にとってより魅力的なセックスシンボルであることを求められ、優劣をつけられる世界で生きている女性』⇒「かわいそう」なのかなと。

立場が違えば物事の見方が変わる、というけれど、文化に根差したものの見方の違いは時に想像を超えるし、当たり前のように感じていたものをあらためて考えてみる機会になるのだなあと感じました。
昨今は異文化を排斥する動きが世界中で見られますが、なんとかサトコとナダみたいに、文化は全然違うけど友達にはなれるよ、って感じになって行ってほしいなあと思います。

ちょっと硬い話になってしまいましたが、マンガ自体はとてもほのぼのした雰囲気で、読みやすくて面白かったですよ。
おすすめです。




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by vitablommor | 2018-01-30 11:40 | 本・CD・DVD | Comments(0)

怖いと思うもの

何を怖いと感じるか、というのは人によって大分差があるような気がします。

前記事で私は鳥が好きだって書きましたが、鳥が嫌い、怖いって言う人も何人か知っています。
彼ら彼女らにどこが怖いのかと問うと、足が気持ち悪いと言う人と、くちばしが怖いと言う人と、目が怖いと言う人がいて、同じ「怖い」でもその内容には差があるようです。
一方で私は鯉が怖い。特に公園などで人が近寄ると餌をもらえると思っている集団。大軍で水面に顔を出して超貪欲に口をぱくぱくさせているあの形相に恐怖を感じてしまうのですが、人々はそんな鯉たちに楽しそうに餌を投げています。

穂村弘さんは、いろんなことが怖い人、日常の小さい歪みの中に怖さを見つけてしまう人、のようです。

鳥肌が

穂村 弘/PHP研究所

駅のホームで先頭に並ぶのが怖い、などの想像しやすい恐怖や、旅先のホテルやドライブ中などの恐怖体験、さらには友達の再婚相手の顔が前の奥さんにそっくりだったとき、友達の家に遊びに行ったときの家の匂いの違い、などに感じるもやもやした思いなど、日常の中で、ふと怖くなる瞬間について語った短編エッセイ集。読みやすくて面白かったです。

個人的には『自分フラグ』という文章がツボ。自分がいつか何かとんでもないことをしでかすのではないか、という恐怖、たとえば演劇を見ていて、自分がふいに何かしてしまって(奇声をあげるとか、舞台に駆け上がるとか)舞台をぶち壊すのではないかと思ったり、「赤ちゃん、抱っこしてみます?」と言われたときに、もしかしたら抱っこしてそのまま窓からぽいっと捨てちゃうかもしれない、と思ったりして怖くなるという話。なんでだろう?わかる!この感覚わかる!

この本の表紙カバーにはタイトルに合わせて鳥肌状のぽつぽつとした凸が作ってあって、ちょっと怖いので触らないように注意して持っていましたが、それでも時々手が触れてしまってそのたびに少しぞわっとしました。
祖父江慎さんの装丁。
やはり、というか、さすが、というか。



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by vitablommor | 2018-01-29 11:00 | 本・CD・DVD | Comments(0)

鳥好き

猫派か犬派かという問いには、私は鳥派と答えようと思う。

子どもの頃、実家で小鳥を飼っていたので鳥は好きです。
つがいで飼っていた十姉妹は人間(私)など眼中にないようでしたが、単独飼いのインコや文鳥はよく慣れて遊んでくれました。
あのふかふかの羽毛、つややかな嘴、下から上に閉じるまぶたも、鳥嫌いの人が「ぎゃーっ!」ていう足指や爪も愛らしい。猫とちがってトイレを覚えるってことがないのが困りものですが、ご縁があればまた飼ってみたいと思っています。
そういえばユニバーサルホームのCMに出てくる小さいフクロウ(コキンメフクロウ)もかわいくて飼ってみたいと思ったのですが、調べるとやっぱり小さくても猛禽類、餌には冷凍ネズミが必要なようで、うちの冷凍庫にタッパーに入ったネズミがずらーっと・・・という光景を想像してやめました。


『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ』というタイトルですが、この先生、めっちゃ鳥好きです。

鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。

川上 和人/新潮社

呼吸するたびに口と鼻が大量のコバエだらけになってしまうような環境でフィールドワークしたり、おやつタイムにチョコボールのキャラクター『キョロちゃん』が肉食なのか果実食なのかを推理したり、よっぽど好きじゃなきゃ絶対やらない。
そんな、鳥大好きな川上先生が、鳥について、鳥類学研究のための過酷なフィールドワークについて、絶滅危惧種を救うためにやってきたさまざまな活動について、また、クマに襲われたとき死んだふりをすることの効果について?すごい勢いで語りつくした本。

理系の学者さんの本なのですが、落語家か?って思うくらいに文章が面白いです。
正直私はウグイスとハシナガウグイスのどちらが亜種でどちらが基亜種でもどっちでもいいのですが、そんな風にそれほど興味のない話題でも、語り口の巧みさで読ませてしまう力技。お見事。

全編にわたって「鳥が好きー!」という熱が伝わってくるのですが、やはり研究者でいらっしゃるので、フィールドワークでは鳥を捕まえて殺して剥製を作ったりするわけで、うう、理系の学問と言うのはいろいろ厳しいなあと思ったりもしました。
研究の対象としての「鳥好き」と愛玩の対象としての「鳥好き」は相容れない部分が多いんですね。



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by vitablommor | 2018-01-25 12:48 | 本・CD・DVD | Comments(0)

レゲエとマトリックスはすごいらしい

各種「引き寄せ」本がヒットしてる昨今ですね。
年末にスケジュール帳を探していたら「願いを叶える」ノートなんてものも発見しました。
「思考は現実化する」って聞くと、それが本当ならすごくいいじゃん!と思うかもしれませんが、案外これネガティブな思考の方が現実化しやすいらしいですから(「壊れたら嫌だなあ」って思っているものほど壊れる、とかね)、実は結構恐ろしいことのような気もしますよ。

この本も言ってみればそういう「思考の現実化」について書かれた本です

悪魔とのおしゃべり

さとう みつろう/サンマーク出版

「お金持ちになりたい!」と願えば「お金持ちになりたい!」(という状態⇒つまりお金が不足している状態)が叶う…っていうかもう目の前で叶っている。
「彼女が欲しい!」と願えば「彼女が欲しい!」(という状態⇒つまり今彼女がいない)が目の前で叶っている。
・・・という。
なんだそれ?って感じですが、私が知る限り引き寄せ本って大抵こんな感じのことが書いてあると思います。
なので「もう叶っている」と思い込むことが大事(つまり「私はお金持ち!」と信じ込むとかね)、ってよく書かれていますが、そうそう簡単に自分の脳を騙せるかって話ですよね。「私はお金持ち!」と何百回唱えようと、心の底から信じてないと引き寄せられないそうなので。

そんな話はもう何十回と聞いてるんだよ、その先を教えてよ!って感じになりながら読み進めました。
ちなみにこの本、「悪魔とのおしゃべり」というタイトル通り、主人公と悪魔との(時には友達との)対話形式で進んで行きます。なので一見とっつきやすく読みやすいのですが、実は結構難しい話(哲学対話っぽいんだけど、実は量子力学とか素粒子物理学の分野らしい)も展開されるので、主人公たちか会話しながら「そうか!」「なるほど!」「わかった!」とテンポよく理解していくのと同じペースで理解するのは難しかったです。

「世界」と「私」はもともとひとつのものが二つに分かれた状態で、だから、「私」にあるものは「世界」の側にはない(見えない)んですって。だから私たちが外の世界を感じるセンサーである五感で感じられないものが、実は「私」と伴にあるものなんですって。
わかります?ちょっと難しいですよね?

で、こういった世界のしくみについて「引き寄せ」本なんかが出るずっと前に理解して表現していたのが、レゲエ(ボブ・マーリー)と映画「マトリックス」らしいですよ。正直、読んでいて一番「へー」と思って面白かったのはこのレゲエとマトリックスの繋がりの部分だったかも。


という感じで、一読して体感的にスッと腑に落ちる感じにはなれませんでした。
でも、結局言ってることが『スピリチュアルかあさん』とそっくりだな~と思いました。
物理学だろうがスピリチュアルだろうがレゲエだろうが結論は同じってこと?!
ってことになると、なんだかそこには何かしら本当のことがあるような気がします。




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by vitablommor | 2018-01-24 08:55 | 本・CD・DVD | Comments(0)

ダメが売りになる

作家って言うのは「ダメ」が売りになる稀有な職業なのではないか、と思うことがあります。
世間の人と同じようにできない、同じようにしなくてはと思ったり、同じようにしているつもりなのにいつの間にかずれている。
このズレについて気が付いていることが肝要で、気が付きもしないし気にもしないような天才は、文章家にはならずに別の方面での芸術家になる気がします。
世間とズレている自分に悩んだり、その実「ちょっと違う私」に対する選民思想めいた自尊心があったりまたそれを傷つけられたり、そういうズレや自意識が作品になっている例えば太宰のような人。でも不思議なことに世間からどうしてもずれてしまうそのありさまを書いた作品が「まるで自分のことだ」と多くの人に思われているのですから、案外世間なんてまぼろしなのかもしれません。

女性作家二人による、「ダメをみがく」というタイトルの対談集、面白かったです。

ダメをみがく―“女子”の呪いを解く方法

津村 記久子,深澤 真紀/紀伊國屋書店

10歳違いのお二人ですが、奇しくもお二人とも最初に入った会社で上司のパワハラに遭い、逃げるように退社したという経験を持ち、「相性の悪い人間関係は逃げた方がお互いのためである」「逃げていい」と言い切ります。
社会で成功してやる!というガッツがあふれている方向きの本ではないです。むしろその時その時の仕事をなんとか工夫して「しのいで」いくことをすすめる本であり、自分の中にダメな部分があってもいいし、それが他人にバレてもいい、自分もダメだから他人のダメも生温かい目で見守って、ゆるい人間関係の中で世間を泳いでいこうよという感じの本。でも語り手の二人、多分めちゃくちゃガッツありそうな人たちですけどね。
既婚未婚の差はあれど子どもを持たないお二人が「子どもを持ってない人にはわからない」というマウンティングに対して「でもマザー・テレサも子どもおらんかったで」って返すのはどうだろう?と話し合っているくだりは笑えました。
こういうセリフを言う人は他人を使ってガス抜きをしたいだけなのだから、そう言う奴からはとにかく逃げるべし。

自分の中のダメを赦しつつそのまま抱えつつ、女はこうじゃないといけないとかの呪いをかけてくる他人から全力で逃げながら、幸せにいきていくためのヒントがある本でした。



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by vitablommor | 2018-01-23 08:21 | 本・CD・DVD | Comments(2)

コサージュや布雑貨の製作、販売をしています。 


by vitablommor
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