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カテゴリ:本・CD・DVD( 170 )

久しぶりに図書館へ

緊急事態宣言のころに休館になってしまって以来、縁遠くなってしまった図書館ですが、いつの間にかひっそり開館していたのでこの間久しぶりに行ってきました。
出入り口にアルコール、カウンターにはビニールの仕切り、そして利用時間1時間以内という制限を設けての開館でした。
隣の市の図書館には本を除菌できる装置も設置されているそうなのですが、わが町の図書館にはそれは見当たりませんでした。
いやはや本当に、新型コロナウィルス、やっかいですね。

利用者の数も以前の半分程度だったように思います。

以前から気になっていた、山田風太郎の『人間臨終図巻』を借りてきました。

人間臨終図巻1<新装版> (徳間文庫)

山田 風太郎/徳間書店


この人物は、何歳で、こんな風に死にました。という話が、年齢順にずらりと並べて書いてあります。
ライフログで出てきたのは徳間文庫ですが、私が借りたのは角川文庫の上中下3巻セット。
上巻だけでも、15歳で死んだ八百屋お七から55歳で死んだ大川橋蔵まで、300人以上の人の死にざまが収録されています。

私、40の坂を越えたころから、子どもを残していくのが気がかりなのでまだ死にたくはないけれど、死ぬこと自体に対する恐怖ってあんまりなくなったな、と思っていたんですよ。

でもね、これだけ多くの人の死んでいく様子を次々に読まされると、なんていうか、やっぱり死ぬって大変なことなんだなってじわじわと怖くなってきます。
処刑された人、自殺した人、病死の人、事故死の人、殺された人、などなど、どんな場合でもそれぞれなかなか大変そうです。


人が死ぬニュースは嫌なもんですね。

『世界はほしいものにあふれてる』ってNHKの番組、好きでよく見ていたんです。
コロナの影響で最近は再放送ばかりでしたが、ビーズ刺繍の小林モー子さんの回が再放送されるって知って、録画して見て、その翌日のニュースで、MCの三浦春馬さんの訃報を知りました。
特にファンってわけでもなかったんですけど、「えっ!昨日見たばっかりなのに(再放送だけど)!」って思って、「えっ?!昨日会ったよ」ぐらいの勢いでびっくりしました。
他人のことはどうしたってわからないものだから、自殺の原因は?なんて、テレビや週刊誌でいくら騒いだってしかたないじゃない、と思うのですが、でもまあ本当に、不足するものが何一つないようにさえ見える若い人でしたので、「なんで?なんで?」と騒ぎたくなる気持ちもわかります。


一方、ALS患者の嘱託殺人のニュースも、また何とも言えない辛い気持ちになりました。
こちらは、こんなこと言ってはいけないのかもしれませんが、「死にたい」と思ってしまった気持ち、想像できる気がします。
ただ、こんな風に「そりゃあ絶望して死にたくもなるだろうなあ」なんて短絡的に考えることがいかに浅薄であるか、7月26日、朝日新聞の一面に載った、日本ALS協会の増田さんのメールを読むと気づかされます。ずしっと響く文章でしたので、一部引用します。

社会は、ALSなど重度の障害者が生きることを簡単には認めてくれません。
そういう社会では、まさに今起こっているように、彼女と他の患者の条件を比べて、同じ病や障害を持つもの同士を分断しようとします。

きっと社会は、安楽死や尊厳死の法制化について議論を再開するでしょう。そして、私はそれに反対することになります。こうやって同じALSなのに、さも私の存在や主張が彼女を否定するかのように受け取り、彼女と私をわけていきます。そうして、わたしや彼女、ALSの人が抱えている問題や苦悩を覆い隠していくのです。

中略

私たちが生きることや私たちが直面している問題や苦悩を尊厳死や安楽死という形では解決できないし、そうやって私たちの生を否定しないでほしいです。
                                          2020年7月26日 朝日新聞朝刊より 一部抜粋して引用



どういう形の生や死が、一番望ましいものなのか、答えは簡単には出ませんし、おそらく普遍的な正解などないでしょう。

他者の生き方について、どうこういう権利も資格も誰にもありません。

ただ、私としては、私自身と私の好きな人たちの、限りある人生が、できるだけその人にとって豊かなものであるように、生を望み、楽しんでいられる時間ができるだけ長いようにと願うばかりです。

人が死ぬニュースは嫌なもんです。

なのになぜこんな本を借りてきたかなあ、私よ。

あと、中巻と下巻があるのですが、一気に読むのは辛いので、途中に別の本を挟みながら読みます。


もうすぐ8月なのにぐずついた天気がつづいています。
梅雨明け太夫が待たれる。















by vitablommor | 2020-07-28 16:51 | 本・CD・DVD | Comments(8)

読書と事務仕事の日々

7月ですね。
あっという間に今年も半分終わりましたよ~。ちょっとゾッとしちゃう。
思えば年が明けて、ハマスホイとデンマーク絵画を観に上野に行ったのが今年前半最後のお出かけ。
そのあとはコロナコロナでいろんな予定がキャンセルになって、事務のアルバイトもあっちこっち行ってやってて忙しいのもあり、ほとんどお出かけというほどのお出かけもしないまま(県内の美術館には行ったけど)、例年ならあちこちのかき氷屋さんを食べ歩くのにそれもしないまま、もう7月。
で、もう夏になったというのに未だにマスクして暮らしてる。このまま今年はずーっとマスクの生活が続きそうな気配。
これはちょっと、予想を上回ってました。
最近の東京では若者の感染が多いのだそうですが、若い者はまあ重症化しないらしいので、これからのwithコロナの時代に対応する免疫を獲得するという意味では長い目で見ればそう悪くないのかしら?なんてことも考えてしまいます。そこから誰にうつるかわからないところが困るんだけどね141.png

コロナの影響で長いこと地域の図書館も閉館していたので、本が借りられなくてとても残念でした。
その分買って読んでいたので気が付けば自宅の本棚が満杯。
ちなみに先月読んだ本たちはこんな感じです。

例の一万円選書で送られた本も入っていますが、それ以外にもいろいろと。
写真に写っているものだけで17冊。
この他に知人から借りた『鬼滅の刃』20冊を読んだので、6月は本当にたくさんの本を読みました(37冊中27冊が漫画ですけどね)。

読んだ本の中で特におすすめは

静子の日常 (中公文庫)

井上荒野/中央公論新社

静子さん、というおばあさんの日常。
淡々としているようで実は行動力があってユーモアも知恵もある静子さん。
『マジカルグランマ』のおばあさんもパワフルで面白かったけど、この静子さんの楚々としていながらちょっとぶっ飛んだ感じ、すごく好き。
井上荒野さん、初読みの作家さんでした。『こうや』だと思っていたけど『あれの』さんなんですね。

アーモンド

ソン・ウォンピョン/祥伝社

翻訳物はあまり得意ではないのですが、これは訳がうまいのか、それとも同じアジアの文学だからなのか、違和感なく読めました。すごく面白かったです。

脳の偏桃体が小さく、そのためにあらゆる感情を持たない少年が主人公。感情のない彼の一人称で物語が進行するため、作中の出来事がとても淡々と語られます。通り魔に母と祖母が刺殺される場面でさえも。彼は何も感じなかったのだから。

嬉しい、楽しい、悲しい、怖い、愛しい、寂しい、そういった感情のすべてがわからない少年の話なのですが、にもかかわらずこれは圧倒的な愛の物語です。
本屋大賞翻訳部門の一位も納得の作品。


男社会がしんどい ~痴漢だとか子育てだとか炎上だとか~ (バンブーコミックス エッセイセレクション)

田房永子/竹書房

フェミニズムの話ですので、嫌いな人は毛嫌いする系統の作品ですが、私は女性ですので95%くらい共感をもって読みました。

未だ日本での女性の社会的評価は『男性の下』だと思われていることも多く、そのために多くの痴漢やセクハラが『これくらい大したことない』という扱いになって被害者を二重に傷つける構図や、女性同士がカテゴリーで分断されて『vs.』状態で対立させられ(ワーママvs専業主婦などはその典型)、それを男性が大喜びで高みの見物しているという不可思議な構図はまだまだ根強く残ってはいますが、それでもここ10年くらいで飛躍的に意識が変わってきたよなあ、と私は思っています。
アメリカに端を発した#metoo運動は記憶に新しいし、職場内のセクハラについても、今やちゃんとした会社の人ならきちんと理解しているのが当たり前、女性同士が変に分断させられているのは罠だよって気付き始めた人も出てきています。そしてセクシャルマイノリティの人たちも、次々と声を上げるようになってきて、そのおかげで私たちは、世の中には男女というくくりだけでなく、様々なジェンダーがあるのだということを知るようになりました。
これらの変化が、本当に短い期間で起こっている。

今の子供が大人になるころには、男性も女性も意識の面からもう全然変わっている、ジェンダーがどうこうではなく、個人の違いで、いろんな考え方の人、いろんな選択肢があっていい、という時代になっていてほしいです。


ちなみにコロナの影響で再放送されている番組が最近たくさんありますが、NHKの『腐女子、うっかりゲイに告る』を見逃していたので今見られて嬉しいです。



by vitablommor | 2020-07-01 11:57 | 本・CD・DVD | Comments(15)

一万円選書

先月、コロナコロナでバイトも減らされて、人とも会えず、ちょっとだけ気分がダウナー気味だった頃に、気分がグワッと上がるメールが届きました。

『一万円選書 当選のお知らせ』

えーーーっ!!本当?!やった!やったーーー!!!+。:.゚٩(๑>◡<๑)۶:.。+゚


一人で大騒ぎしてますが、一万円選書、ご存じない方には何のこっちゃ?ですよね。

一万円選書は、北海道は砂川市にある町の本屋さん『いわた書店』さんが始められた取り組みで、店主の岩田さんが、注文者の読書歴や好きなこと嫌いなこと、今の悩みなどを『選書カルテ』と呼ばれるアンケートから読み取り、その人におすすめの本を1万円分選んで送ってくれるという新しいタイプの販売方法です。

もともと、バブルがはじけて経営難だった時期に、先輩から1万円渡されて「これで俺に合いそうな本を選んで」と言われたのが始まりだそう。
その後、ホームページでこのサービスを始めましたが、最初はあまり反応がなかったそうです。

ブレイクのきっかけは深夜のテレビ番組で取り上げられたこと。

それを見ていた若い人たちがツイッターで発信し、そのツイッターを見ていた別の局のテレビプロデューサーが取材に来て、またそれを見た人たちがSNSに書き込み。。。という感じで、急速に評判になり注文が殺到。選書は店主の岩田さんがお一人でなさっているので全部は受けきれなくなり、一時注文受付を停止。
現在は年に一回、抽選が行われ、当選した場合のみ選書サービスが受けられるようになっています。

実は私も何年か前にテレビ(確かNHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』)で一万円選書のことを知り、「私も選書してほしいなあ、、、」と思った一人でした。

でも、その時は確か受付停止中ということをテレビで言っていたので諦めてて、そのまましばらく忘れていたのですが、昨年ふと、「あの一万円選書ってやつ、今はどうなっているんだろう?」と思って調べてみたら、ちょうどもうすぐ抽選のための応募期間が始まるという頃だったのです。

毎年数千通の応募があるそうで、私はもともとそんなにくじ運が強くないのでダメもとで応募してみたらまさかの当選!
今年は4646通の応募があったそうです。とってもラッキーでした。

選書カルテ、書くのに3日かかりました。
でもこの作業が難しかったけど楽しかった。

カルテをメールで送信して、待つこと約1か月。
とても丁寧な文面のメールで、選書が終わりました、という連絡が来ました。
選んでもらった本は全部で11冊
そして、それらの本が今日届きました!
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どれも自分では買わないだろう本ばかりです(実は最初に選書していただいていた本には既読のものが2冊含まれていたので、それは差し替えてもらいました)。

さて、これらが一体どんな本なのか、岩田さんはどうしてこれをお勧めしてくださったのか考えながら、これから読むのがすごくの楽しみです。



いわた書店のこの取り組み、これだけ評判なら他の本屋さんでマネするところがさぞかし増えただろうと思ったのですが、私の知る限りこのような選書サービスをしている書店さんはとても少ないようです。

相当な読書家(しかもジャンルが偏らないタイプの)でないと、注文者それぞれに合わせた本を選ぶなんてことはできないでしょうし、選書カルテを読んだり、それに返事を書いたり、その手間暇と労力は並大抵ではないので、コストパフォーマンス的に言ってもなかなか難しいのかもしれませんね。

でも、以前このブログでも紹介した『出会い系サイトで70人と実際に会って、その人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』を読んでいても思ったのですが、こういうサービスを求めている人って結構たくさんいそう。

ていうか私もこういうのやってみたい!本、というジャンルは広すぎて難しいけど、漫画ならできるかもしれない、とか考えたりして。

一人では難しいのでいろんなジャンルの読書家の人が集まって、イベントみたいにして「あなたにぴったりの本をおすすめします」企画ができたら楽しいだろうな~。という、妄想。











by vitablommor | 2020-05-26 16:56 | 本・CD・DVD | Comments(2)

東京は午前1時

東京は夜の7時♪ってピチカートファイブの歌でしたっけね?
東京が夜の7時なら私の住んでいる静岡だって同じく夜の7時だし、大阪だって福岡だって同じなんですが、さらっと地名と時間だけでおしゃれな歌詞になるのはやっぱり「東京」なんだよね~。
トウキョウという街の響きには特別感がありますね。

そんなわけで午前1時の東京を舞台にした物語『おやすみ、東京』を今日はご紹介します。
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図書館で借りたのですが、とてもよかったのであらためて買いました。文庫で。
でも表紙は単行本の方が素敵なので、ここには単行本の書影を。

午前1時から始まる12の連作短編集。
映画会社で小道具の調達に夜中まで動き回るミツキ、深夜専門タクシーのドライバー松井、東京03相談室の深夜担当の電話オペレーター可奈子、明け方まで営業している食堂『よつかど』のアヤノ、昼夜逆転生活で、夜だけ古道具屋を開けているイバラギ など、様々な人たちが、知らず知らずすれ違ったり知り合ったり、恋に落ちたり、探している物や人を見つけたり。
深夜、月に照らされた東京の片隅で繰り広げられる小さな物語はどれも、やさしくて静かで、ほのぼのとしたおかしみがあって、とっても素敵です。

東京では、いわゆる「夜のお仕事」以外の人でも、夜中に仕事をしていることが別段珍しくない。で、夜中だけやってるお店、なんていうのも、東京ならまあ割とあり得る。それが、壊れて普通は役に立たないようなものばかり売っている古道具屋だったとしても、まあ、あるかもねえ、東京なら。と、思ってしまいます。だからこそ、舞台は東京。

地方都市の出身者で、東京は人が冷たい街だとか住むところじゃないなんて言う人もいますが、私は若いころに住んでいた東京、好きでした。おせっかいではないけど、困っていたら親切にしてくれるという距離感とか、意外にあちこちに緑があるところとか。深夜でも明るくて、女性の一人歩きもそれほど怖くなかったり(これは場所による)。夜の東京の、静かなんだけれど確実にそこここに人が居ることがわかる安心感。そんなことを思い出しながら、繰り返し読んでいます。『おやすみ、東京』を、静岡で。

田舎には田舎の良さがありますが、東京はやっぱり、魅力的な街に違いありません。でも夏の夜のいつまでもむわ~っと暑いのだけは勘弁!そこだけは田舎がいい。

by vitablommor | 2020-05-08 01:00 | 本・CD・DVD | Comments(0)

ゴールデンウィーク?!におすすめ本

お久しぶりです。
放置がちなブログに訪ねてきてくださってありがとうございます。
2月から週5でやっていたバイトが終了しましたので、またぼちぼちこちらの方も更新していきたいと思います。

さて、もう4月最終日ですよ。本来ならばゴールデンウィークですよ。
今年は2月から続くコロナ禍により、天気だけよくてどこにも出かけられない、つまり家庭内の家事担当者にとっては、家の中で三度三度ご飯のことを気にしなきゃいけない休みの日が長々続くだけのだるい日々ですよ。
早く終わらないかな。連休とコロナ。

聞いた話ですが、先月から本とトランポリンがよく売れているそうです。あと、『あつまれどうぶつの森』ね。
ゲームのことには疎いしトランポリンも飛ばないので、本の話をしますね。

インスタグラムでも紹介したのでそちらを見てくださっている方には再掲載になりますが、最近の新刊から、ゴールデンウィークにおすすめ本をご紹介します。

ゴールデンウィーク?!におすすめ本_a0213793_17030198.jpg
伊坂幸太郎『逆ソクラテス』
これ、本当に面白かったです。
伊坂さんの本は基本的にどれも面白いんですが、今回は、子供が主人公ということも手伝ってか、ストレートに伊坂さんのメッセージが届く作品でした。

伊坂幸太郎ファンの方には言わずもがなだとは思いますが、伊坂さんの小説ではよく、世間であまりにも当たり前に正しいと信じられているものに対して「それ本当?」「どうして?」という真っ向からの問いかけや、その「当たり前」や「正しさ」は、本当は全然違うかもしれないよ。あるいは今だけのものかもしれないよ、という示唆が登場します。

映画にもなった『ゴールデンスランバー』では、主人公の青年がある日突然、マスコミの報道といかにも確からしい<証拠>付きで、首相暗殺事件の犯人に仕立て上げられていく様子を、『夜の国のクーパー』では、物語の後半で善悪がぐるりと反転する仕掛けを見せ、『マリアビートル』では「どうして人を殺しちゃいけないの?」という疑問を子供に投げかけさせています。

伊坂さんは、多くの物語を通じて、「先入観にとらわれていないで、力のあるやつの言いなりになってないで、ちゃんと目を開いて、自分の目で見ろ、自分の頭で考えろ」というメッセージを届けているのだなと私は感じています。

『逆ソクラテス』は、表題作を含む5つの短編からなる物語ですが、それぞれに本当に大事なことが、説教臭くなく、でもストレートに届くように書かれていて、読みながらとても興奮したし、伊坂さんは信頼できる作家さんだなと思ったし、子どもたちにも読んでほしいなと思いました(ぜひ小中学校の図書室に置いてほしい!)。
もちろん大人にも。
自分の子供時代を、美化することなくちゃんと憶えている人なら、子供時代に大人の理不尽に悔しい思いをしたことのある人、いじめやからかいの標的になったことのある人、それを見ていて嫌だなあと思いながら何もできなかった人、あるいはいじめに加担して、でもそのことをちゃんと憶えていて後悔している人なら、この物語はものすごくすっきりするし、刺さると思います。

ぜひ読んでほしい一冊です。




by vitablommor | 2020-04-30 18:14 | 本・CD・DVD | Comments(3)

中年になるって悪くない

結構前に読んだ本で、すごく面白かったのですが、まだ紹介していなかった。
ジェーン・スーさんの新刊『これでもいいのだ』

これでもいいのだ (単行本)

ジェーン・スー/中央公論新社


すべての中年女子必読!と触れ回りたいくらいよかったです。

帯文が『思ってた未来とは違うけど これはこれで、いい感じ。』

長年の女友達と「しゃべると食べるの無限ループ」を繰り広げる『プレミアム豚の夜』、既婚・子なしのAさんの親の介護に、二人の子供を育てた別の友人Bさんの子育て経験からのアドバイスが活きる様子に、ライフスタイルが違って一旦は分断されても、私たちは互いにそれぞれのステージで培ってきた知識や経験を共有できるようになるのだ、と胸を熱くする『女に生まれてよかった』など、中年女子って、いい‼と思える文章がたくさん。

そして、45歳になって、堂々「私の私による私のためのオバさん宣言」をしたスーさんの物事の見方はとても公平で優しいのです。
とかく「お飾り的存在」で「楽な仕事」と言われがちな女子アナにも、子供を連れているというだけで、いちいち周りに気を使って「ごめんなさい」を連発する癖がついてしまったお母さんにも、偏見のない目を向けている。
スマップ解散の報に接した時の記事『エンタテーインメントは命の糧』の「世の中には、誰かを一生懸命応援することで、なんとか明日へ命をつなげる人がいる」として、ファンの人たちの心情を思いやっている。

雑誌や新聞に連載していたものをまとめた本ということで、あっという間に読める短いエッセイが66篇、どこから読んでも短い時間でも楽しめる、おすすめエッセイです。


ちなみにジェーン・スーさん、昨年末に能町みね子さんとのトークイベントでお会いしましたが、毎日ラジオ番組をされている方だけあって、しゃべり方とか話のまとめ方とか、すごく上手でした。
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能町さんの新刊発売イベントでした。この本「結婚の奴」も面白かった!




by vitablommor | 2020-02-13 11:00 | 本・CD・DVD | Comments(0)

姉のおすすめ

多分外見も性格もあまり似ていない、年の離れた姉が一人おりまして、
外見も性格もあまり似ていない割に、料理が好きではないところと、本と手芸が好きなところは同じなんです。

2年位前に会った時に「赤毛のアン」シリーズをあらためて読み直しているんだけどあれはすごく面白いよ。という話をしてくれたので、私は、「ムーミン」はアニメイメージが強いと思うけど実は小説の方は大人が読んでもすごくいいんだよ。という話をしたのですが。

先日会った時は「朝井まかて」って読んだことある?面白いよ。読み始めたら止まらなくてついつい寝るのが遅くなるんだよね。どの作品も何かの賞を獲ってるんだよ。と勧めてきたので
私の方は「津村記久子」って知ってる?ものすごく盛り上がりのある話ってわけじゃないんだけど、何とも言えず面白いよ。どれもすごくいいよ。とお勧めしておきました。

で、別れてから書店に寄って、おすすめの朝井まかて作品を一冊購入しました。

福袋 (講談社文庫)

朝井 まかて/講談社

数年前直木賞を受賞された作家さんなので名前はもちろん知っていたのですが、受賞作の『恋歌』を含め、私はまだ一冊も読んだことがなかったんです。

初めてなので短編集にしました。
これね、面白かったです。
宮部みゆきさんの(怖い話系じゃない)洒脱な江戸ものっぽい雰囲気と言ったら未読の方にも伝わりやすいでしょうか?
姉が言うように「読み始めたら止まらない」とまではならなかったですが、どのお話もそれぞれの味わいがあって、登場人物の顔まで見えるような人物描写の巧みさ、ストーリー展開の流れもお見事でした(上から目線、失礼!)。
一番最初の、筆が語り部となるお話『ぞっこん』は特によかったです。

他の朝井まかて作品も読んでみたいと思います。


姉は、津村記久子作品を読んでくれただろうか?
最初は『この世にたやすい仕事はない』がいいと思うんだけどな~。





by vitablommor | 2020-01-28 10:10 | 本・CD・DVD | Comments(4)

息がつまりそうな世の中で

お久しぶりです。

しばらく更新が滞っていましたが、今日は本の紹介だけしようかと思い、ログインしました。

みらいめがね それでは息がつまるので

荻上チキ,ヨシタケシンスケ/暮しの手帖社


荻上チキさんとヨシタケシンスケさんの共著。暮しの手帖に連載されていたエッセイの書籍化だそうです。

荻上チキさんって、どういう人か全く知らなくて。
そもそもおぎうえなのかおぎがみなのか、男か女か、若いのか年とっているのかも全然しらなくて、でもなんとなく気になって買ったのです。ヨシタケシンスケさんの画がかわいかったしね。

読み始めてみて、最初の方はなんだか今一つピンとこなかったのですが、読み進むうちにじわじわと「いいなあ~」と思えてきました。

荻上(おぎうえ)さんは社会学の評論家で、社会に根深く残る様々な差別や、いじめの問題などに積極的に関わっている、若い(30代)男性でした。子どもの頃にいじめに遭った経験から、みんな仲良くする、なんて無理だってことを知っている人でした。でも、分かり合えない同士でも、お互いの違いを「違うんだね」と認め合ったり、笑いあうことならできるはずだと思っていて、そういう社会を実現していくために活動している人でした。

全員と仲良くなんてできない、自分を守るために、人を嫌いになることもある。でも人を適度に嫌いになるためには「その人に付随するものまできらいにならないこと」が大事な作法であって、自分がその人を嫌いであることを正当化したいあまり、その人の属性ごと、例えば「これだから女は!」とか「これだから〇〇人は!」みたいに、主語を大きくしてしまうことは差別やハラスメントに堕ちることだ。と言う話には、ちょっとハッとするものがありました。
アウシュビッツを訪問したときの話も書いてあって、ナチスの台頭以前から、ユダヤ人嫌悪・排斥の感情はドイツ国内に蔓延していたのだ(むしろそういう空気がナチスの台頭を招いた)と言う話を、私は初めて知りました。
街角のヘイトスピーチは、ホロコーストへとつながっている。今、世界的に蔓延している「自分とその仲間だけが大事で、反対意見を言う人は排斥するし、人種や国籍やセクシャリティが違う人は差別して当然」みたいな空気が、どこに続く道なのか、その怖さをちゃんと知っておくべきだとあらためて思いました。

そういえば今度の週末は選挙ですね。
下馬評では与党が勝ちそうな感じらしいですが、今の政治がそんなにいいとみんな思っているんだ~と個人的には驚きです。

投票って、本当はすごく大事なので、みなさん行きましょう。
「君たちには戦争責任はない。でもそれを繰り返さない責任はある」(アウシュビッツの生存者で、博物館館長を長年務められたカジミエシュ・スモレンさんの言葉だそうです)



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by vitablommor | 2019-07-17 14:00 | 本・CD・DVD | Comments(0)

小泉今日子の存在感

『わたしの16歳』という歌でアイドルデビューした小泉今日子さんを初めてテレビで見た時に、なんでかはわかりませんが、この人は、こんな髪型(いわゆる聖子ちゃんカット)もこんなワンピース姿も、本当は不本意なんじゃないかなあ?と思ったことを憶えています。
何でそんな風に思ったんだろうか?
ともあれキョンキョンは、その後既存のアイドルの殻を自ら打ち破って、今も魅力的な女優さんとして活躍中です。


主人公ナスミ役を小泉今日子さんで当て書きされた本。で、間違いないです。

さざなみのよる

木皿泉/河出書房新社


NHKで以前放送された『富士ファミリー』というドラマの続編、というか、時系列から言うとその前のお話。
ドラマの中ではもう鬼籍に入っていた次女の『ナスミ』が入院して息を引き取るまでが導入部となり、その後は視点が変わって、まだ元気だったころのナスミとちょっとずつ関わりを持った人たちを通して見えてくる、ナスミの人生。そしてナスミによって変わったり救われたりした、その人たちそれぞれの人生。
独立した短編で繋がっていく形式の小説です。

木皿泉さんはドラマ『すいか』で向田邦子賞を受賞されたそうなんですが、そういえば木皿作品には、昭和の匂いのする家がよく似合う。
人間の持つどうしようもない弱さだったり情けない部分を愛おしむようなところとか、人生を進むうえでは、悲しさとかさみしさとかも全部抱えていくしかないじゃない、って、強がるでもなくしっかりと腹に収めているような感じとかも、向田作品に通じるものがあるのかもしれません。なんつって、向田作品はエッセイ含め数冊しか読んだことないんですが。

小泉今日子さんは、その『すいか』にも、3億円横領して逃亡中の、主人公(小林聡美さん)の元同僚、という役どころで登場しています。
日常の少し外側にいて、日常の中で閉塞感や挫折感を味わっている人たちが、何かの折に少しずつ思い出す。この世にいなくなってからも(いや『すいか』では生きてるけども)登場人物の胸の中にものすごく大きな存在として残っていて、時々その思い出が背中を押してくれる、という独特な存在の役を、木皿さんはいつも小泉さんに託しているなあと思います(多分脚本の時点で当て書きしているはず)。しかしこれがまたピッタリはまるんだぁ。
明るいけどその裏にちょっと寂しさがにじむところとか、ちょっとはすっぱな雰囲気とか、人を赦すやさしさのある感じとか、潔さとか。
まあ結局演技が上手いからなんだろうけど、観ている方が何か、この人の存在そのものって感じてしまうくらいのはまり方をしているなあと、木皿泉作品で小泉今日子さんを見るたびに思います。

そんなわけでこの本を読むときも、ドラマのキャストを脳内に降臨させつつ読み進めました(小説が初出の人については適当にキャスティングした)。
ちなみにテレビドラマでのキャストはナスミの小泉今日子さんの他、長女の鷹子を薬師丸ひろ子さん、三女の月美がミムラさん、ナスミの夫は吉岡秀隆さん、笑子バアサンはなんと片桐はいりさんでした。寺内貫太郎一家の樹木希林さん的で、こんなところにも昭和のファミリードラマへのオマージュを感じさせますね。

そんなにボリュームはないので2時間くらいで読めますが、なんだかじわじわ来てティッシュ12枚くらい使いますのでご準備ください。

例えば何のとりえもなくて才能もなくても、人はその存在だけで、人とのかかわりの中で知らず知らず光を放つのだと。人と出会って、別れて、またその出会いと別れが次につながっていって、そういうリレーみたいな、連鎖するものが人生で、だからどんな人も「いてよし」「生きててよし」。
そんな深くて強い、温かな肯定を感じる、木皿泉らしい作品でした。と、まとめてみる(笑)

いい本でした。おすすめです。

by vitablommor | 2019-05-31 09:36 | 本・CD・DVD | Comments(0)

読了

かがみの孤城

辻村 深月/ポプラ社


ははは。読了してしまいました。
他にやらなきゃいけないこと、後回しになってしまいました。
昼食の時に、最初の方だけ・・・とぱらっとめくったらいつの間にか残り50ページくらいになっていたので、もう一気に読んでしまいました。面白かったです。2018本屋大賞。

主人公の部屋にあった鏡が、ある日キラキラと光り出して、ふと手をかざしたら鏡を通り抜けて向こう側の世界に行ってしまう。
鏡の国のアリスのようなこんなファンタジーは、物語の土台となる最初の仕掛け部分の嘘くささを消すのが難しいよなあと思います。この本でもそこの部分がちょっと、大人になって世間ずれした私(笑)には、ハードル高かった。
ナルニア国やアリスなら、時代も国も違うのであまり違和感なく入れるんですけどね、現代の日本の話と思うとなぜかちょっと違和感を感じてしまいますねー。日常の中のファンタジーって難しい。

でも、慣れてしまえばそこはそれほど気にならなくなりました。鏡の中の世界に隠された仕掛けも途中からなんとなくわかっちゃうんだけれど(何しろ世間ずれした大人だから)、それ以外の部分に興味がどんどん惹きつけられていくので、そこは問題としないで読めました。
こころ、アキ、マサムネ、スバル、フウカ、リオン、ウレシノ。7人の少年少女それぞれの傷やどうしようもない事情を、どう癒していくのか、どう解決していくのか、そこの部分に嘘っぽさは感じなかった。伏線の回収も、後日談的なラストも見事だと思いました。

鏡の中の世界に『招待』された7人は、中学に通えなくなった(ほとんどが人間関係による心理的な理由で)子供たち。
私はこの物語に大人になってから出会ったけれど、主人公たちと近い年代で同じように学校での人間関係にいきづまっている子供が読んだらどんなふうに思うんだろうなあ、とつい考えてしまいました。
私だったら辛いって思うだろうな。どうして私はその世界に行けないんだろう、私には救いの手が差し伸べられないって思うだろうな~。
とはいえ。
それでも、もしかしたら、この物語は子どもたちの救いの物語にもなり得るのかもしれない。

ずっと中学生でいるわけじゃない。生きて大人になったら、世界はもっと広がるし、出会える人のバリエーションも増える。「普通」の範疇も、ずーっとずーっと広くなる。そして今でも、自分の気持ちを言葉にして伝えることが出来たら、助けの手は案外近くにあるかもしれない。そんなことに、気づく子どももいるかもしれません。
そうあってほしいと思います。

それにしても子どもの世界の残酷さと未熟さは、基本的にいつの時代も変わらないものですね。
みんな頑張れ。






by vitablommor | 2019-05-28 07:20 | 本・CD・DVD | Comments(10)