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カテゴリ:本・CD・DVD( 163 )

息がつまりそうな世の中で

お久しぶりです。

しばらく更新が滞っていましたが、今日は本の紹介だけしようかと思い、ログインしました。

みらいめがね それでは息がつまるので

荻上チキ,ヨシタケシンスケ/暮しの手帖社


荻上チキさんとヨシタケシンスケさんの共著。暮しの手帖に連載されていたエッセイの書籍化だそうです。

荻上チキさんって、どういう人か全く知らなくて。
そもそもおぎうえなのかおぎがみなのか、男か女か、若いのか年とっているのかも全然しらなくて、でもなんとなく気になって買ったのです。ヨシタケシンスケさんの画がかわいかったしね。

読み始めてみて、最初の方はなんだか今一つピンとこなかったのですが、読み進むうちにじわじわと「いいなあ~」と思えてきました。

荻上(おぎうえ)さんは社会学の評論家で、社会に根深く残る様々な差別や、いじめの問題などに積極的に関わっている、若い(30代)男性でした。子どもの頃にいじめに遭った経験から、みんな仲良くする、なんて無理だってことを知っている人でした。でも、分かり合えない同士でも、お互いの違いを「違うんだね」と認め合ったり、笑いあうことならできるはずだと思っていて、そういう社会を実現していくために活動している人でした。

全員と仲良くなんてできない、自分を守るために、人を嫌いになることもある。でも人を適度に嫌いになるためには「その人に付随するものまできらいにならないこと」が大事な作法であって、自分がその人を嫌いであることを正当化したいあまり、その人の属性ごと、例えば「これだから女は!」とか「これだから〇〇人は!」みたいに、主語を大きくしてしまうことは差別やハラスメントに堕ちることだ。と言う話には、ちょっとハッとするものがありました。
アウシュビッツを訪問したときの話も書いてあって、ナチスの台頭以前から、ユダヤ人嫌悪・排斥の感情はドイツ国内に蔓延していたのだ(むしろそういう空気がナチスの台頭を招いた)と言う話を、私は初めて知りました。
街角のヘイトスピーチは、ホロコーストへとつながっている。今、世界的に蔓延している「自分とその仲間だけが大事で、反対意見を言う人は排斥するし、人種や国籍やセクシャリティが違う人は差別して当然」みたいな空気が、どこに続く道なのか、その怖さをちゃんと知っておくべきだとあらためて思いました。

そういえば今度の週末は選挙ですね。
下馬評では与党が勝ちそうな感じらしいですが、今の政治がそんなにいいとみんな思っているんだ~と個人的には驚きです。

投票って、本当はすごく大事なので、みなさん行きましょう。
「君たちには戦争責任はない。でもそれを繰り返さない責任はある」(アウシュビッツの生存者で、博物館館長を長年務められたカジミエシュ・スモレンさんの言葉だそうです)



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by vitablommor | 2019-07-17 14:00 | 本・CD・DVD | Comments(0)

小泉今日子の存在感

『わたしの16歳』という歌でアイドルデビューした小泉今日子さんを初めてテレビで見た時に、なんでかはわかりませんが、この人は、こんな髪型(いわゆる聖子ちゃんカット)もこんなワンピース姿も、本当は不本意なんじゃないかなあ?と思ったことを憶えています。
何でそんな風に思ったんだろうか?
ともあれキョンキョンは、その後既存のアイドルの殻を自ら打ち破って、今も魅力的な女優さんとして活躍中です。


主人公ナスミ役を小泉今日子さんで当て書きされた本。で、間違いないです。

さざなみのよる

木皿泉/河出書房新社


NHKで以前放送された『富士ファミリー』というドラマの続編、というか、時系列から言うとその前のお話。
ドラマの中ではもう鬼籍に入っていた次女の『ナスミ』が入院して息を引き取るまでが導入部となり、その後は視点が変わって、まだ元気だったころのナスミとちょっとずつ関わりを持った人たちを通して見えてくる、ナスミの人生。そしてナスミによって変わったり救われたりした、その人たちそれぞれの人生。
独立した短編で繋がっていく形式の小説です。

木皿泉さんはドラマ『すいか』で向田邦子賞を受賞されたそうなんですが、そういえば木皿作品には、昭和の匂いのする家がよく似合う。
人間の持つどうしようもない弱さだったり情けない部分を愛おしむようなところとか、人生を進むうえでは、悲しさとかさみしさとかも全部抱えていくしかないじゃない、って、強がるでもなくしっかりと腹に収めているような感じとかも、向田作品に通じるものがあるのかもしれません。なんつって、向田作品はエッセイ含め数冊しか読んだことないんですが。

小泉今日子さんは、その『すいか』にも、3億円横領して逃亡中の、主人公(小林聡美さん)の元同僚、という役どころで登場しています。
日常の少し外側にいて、日常の中で閉塞感や挫折感を味わっている人たちが、何かの折に少しずつ思い出す。この世にいなくなってからも(いや『すいか』では生きてるけども)登場人物の胸の中にものすごく大きな存在として残っていて、時々その思い出が背中を押してくれる、という独特な存在の役を、木皿さんはいつも小泉さんに託しているなあと思います(多分脚本の時点で当て書きしているはず)。しかしこれがまたピッタリはまるんだぁ。
明るいけどその裏にちょっと寂しさがにじむところとか、ちょっとはすっぱな雰囲気とか、人を赦すやさしさのある感じとか、潔さとか。
まあ結局演技が上手いからなんだろうけど、観ている方が何か、この人の存在そのものって感じてしまうくらいのはまり方をしているなあと、木皿泉作品で小泉今日子さんを見るたびに思います。

そんなわけでこの本を読むときも、ドラマのキャストを脳内に降臨させつつ読み進めました(小説が初出の人については適当にキャスティングした)。
ちなみにテレビドラマでのキャストはナスミの小泉今日子さんの他、長女の鷹子を薬師丸ひろ子さん、三女の月美がミムラさん、ナスミの夫は吉岡秀隆さん、笑子バアサンはなんと片桐はいりさんでした。寺内貫太郎一家の樹木希林さん的で、こんなところにも昭和のファミリードラマへのオマージュを感じさせますね。

そんなにボリュームはないので2時間くらいで読めますが、なんだかじわじわ来てティッシュ12枚くらい使いますのでご準備ください。

例えば何のとりえもなくて才能もなくても、人はその存在だけで、人とのかかわりの中で知らず知らず光を放つのだと。人と出会って、別れて、またその出会いと別れが次につながっていって、そういうリレーみたいな、連鎖するものが人生で、だからどんな人も「いてよし」「生きててよし」。
そんな深くて強い、温かな肯定を感じる、木皿泉らしい作品でした。と、まとめてみる(笑)

いい本でした。おすすめです。

by vitablommor | 2019-05-31 09:36 | 本・CD・DVD | Comments(0)

読了

かがみの孤城

辻村 深月/ポプラ社


ははは。読了してしまいました。
他にやらなきゃいけないこと、後回しになってしまいました。
昼食の時に、最初の方だけ・・・とぱらっとめくったらいつの間にか残り50ページくらいになっていたので、もう一気に読んでしまいました。面白かったです。2018本屋大賞。

主人公の部屋にあった鏡が、ある日キラキラと光り出して、ふと手をかざしたら鏡を通り抜けて向こう側の世界に行ってしまう。
鏡の国のアリスのようなこんなファンタジーは、物語の土台となる最初の仕掛け部分の嘘くささを消すのが難しいよなあと思います。この本でもそこの部分がちょっと、大人になって世間ずれした私(笑)には、ハードル高かった。
ナルニア国やアリスなら、時代も国も違うのであまり違和感なく入れるんですけどね、現代の日本の話と思うとなぜかちょっと違和感を感じてしまいますねー。日常の中のファンタジーって難しい。

でも、慣れてしまえばそこはそれほど気にならなくなりました。鏡の中の世界に隠された仕掛けも途中からなんとなくわかっちゃうんだけれど(何しろ世間ずれした大人だから)、それ以外の部分に興味がどんどん惹きつけられていくので、そこは問題としないで読めました。
こころ、アキ、マサムネ、スバル、フウカ、リオン、ウレシノ。7人の少年少女それぞれの傷やどうしようもない事情を、どう癒していくのか、どう解決していくのか、そこの部分に嘘っぽさは感じなかった。伏線の回収も、後日談的なラストも見事だと思いました。

鏡の中の世界に『招待』された7人は、中学に通えなくなった(ほとんどが人間関係による心理的な理由で)子供たち。
私はこの物語に大人になってから出会ったけれど、主人公たちと近い年代で同じように学校での人間関係にいきづまっている子供が読んだらどんなふうに思うんだろうなあ、とつい考えてしまいました。
私だったら辛いって思うだろうな。どうして私はその世界に行けないんだろう、私には救いの手が差し伸べられないって思うだろうな~。
とはいえ。
それでも、もしかしたら、この物語は子どもたちの救いの物語にもなり得るのかもしれない。

ずっと中学生でいるわけじゃない。生きて大人になったら、世界はもっと広がるし、出会える人のバリエーションも増える。「普通」の範疇も、ずーっとずーっと広くなる。そして今でも、自分の気持ちを言葉にして伝えることが出来たら、助けの手は案外近くにあるかもしれない。そんなことに、気づく子どももいるかもしれません。
そうあってほしいと思います。

それにしても子どもの世界の残酷さと未熟さは、基本的にいつの時代も変わらないものですね。
みんな頑張れ。






by vitablommor | 2019-05-28 07:20 | 本・CD・DVD | Comments(10)

2017年本屋大賞をようやく読む

蜜蜂と遠雷

恩田 陸/幻冬舎


2017年の本屋大賞と直木賞をダブル受賞したことで大いに話題になった『蜜蜂と遠雷』
恩田陸さんは『夜のピクニック』がすごくよかったので、これも面白いんだろうな~と気になりつついたところ、2018年のお正月に、近所に住む本好きの友人と本屋で偶然出会い「今買ったところだから、貸すから待ってて」と言ってもらい、2019年の3月にしばらくぶりに会って貸してもらえたので、2年越しでようやく読みました。

借りる時に「面白かった?」と聞いたら「面白かったんだけど・・・」とちょっと首をひねって
「私、『のだめ(カンタービレ)』が好きだからさ~、のだめと比べたらあっちの方がよかったって思っちゃった」と。
私も『のだめカンタービレ』はドハマりしたので、「そうなのかーーー」と少々構えながら読みましたが、いや、なんのなんの。これはこれで大変面白かったです。2段組のぶ厚い本ですが、読み飽きることなく最後まで一気に読めました。
でもまあ、友人が『のだめ』を思い出すと言うのも肯けるというか、小説版『のだめ』オマージュっぽいというか、読んでいると登場人物のキャラクターが二宮知子さんの絵柄で浮かんできました。しかしそれはそれで、脳内で漫画変換まで楽しめてダブルでお得な気もする。

私はクラシック音楽の世界とはとんと無縁なのですが、音楽を知っている人ならもっと楽しめたのかもしれない。長い期間かけて行われるピアノコンクールの雰囲気を、そんなもの全く知らない素人の私も満喫しました。
面白かったです。

でも、私がもし本屋大賞の投票権をもっていたなら、この作品よりもむしろ『みかづき』に一票入れたかな?と思います。
図書館で借りました。

みかづき (集英社文庫)

森 絵都/集英社


昭和30年代から平成まで、『塾』の経営者夫婦とその子ども、そして孫。『教育』をとりまく家族の、3代にわたっての壮大な(と言ってしまっていいかしら?)物語。
丸一日をこの本を読む以外に何もしないで費やし、物語の中の時代を駆け抜けました。そんなつもりじゃなかったのですが、うっかりしてたら夕方になっていた。それだけ吸引力の強い本でした。

塾を取り巻く環境の変化ってこんなにも劇的なものだったんだー、とびっくり。
と同時に、時代は変わっても、学校であれ塾であれ、本来、子どもに「考える力」と「伝える力」、つまりは『生きるための基礎となる力』を与える(力を伸ばす)というのが教育の主眼なんだよな~。ここ間違えちゃいけないとこだよな~ってしみじみ。
そして、昔も今も、親の経済状況と子どもの教育環境が密接に関係してしまっているのは変わらない。現代の日本においてさえ、貧困家庭で十分な教育が受けられない子どもが実は相当数いるという現状を、国はなんで放置しているのか?という疑問に対する残酷な答えも、この本の中にありました。うぬぬ。。。
途中、文部省(今の文部科学省)の方針についてなど、結構小難しい話も出てくるのですが、まあその辺は面倒なら読み飛ばしても大丈夫です(私はさらっと読み飛ばしました)。
読み応えのある一冊でした。NHKのドラマも見ておけばよかったな~。

今更ですが2017年の本屋大賞、『蜜蜂と遠雷』『みかづき』が1位2位で3位に『罪の声』だったんですね!
9位には『コンビニ人間』も入ってた。これは、この年の本屋大賞の投票権を持ってたらすごく悩むところだわ~~~。
2年も前の話の上に投票権持ってないけどね。


実はこの後に、2018年本屋大賞1位の『かがみの孤城』が控えております(ブックオフにて購入済み)。
でもこの本もまた分厚いの。なんでこう、本屋大賞作品は分厚いのか?わかる気はするけども。
早く読みたい気もするのですが、他にやらないといけないこともあるので(読み始めるとつい後回しになる)なかなか手を付けられないでいます。借りている本なら期限もあるのでちゃんと読むのですが、蔵書となると安心して放置しちゃいますよね。
多分面白いのは間違いないだろうと。そこのところも安心して放置する一因です。
そういえばずーーーーっと前(30年くらい前?)に映画にもなった『羊たちの沈黙』(映画は観てない)。当時から気になりつつ読まないままだったものをこの間ようやく読みましたが、ちゃんと面白かったです。面白い本はやっぱりいつ読んでも大丈夫だなあ。




by vitablommor | 2019-05-27 09:59 | 本・CD・DVD | Comments(0)

10連休を持て余す その2

昨日のつづきです。よろしければお付き合いください

エッセイその他編

私がオバさんになったよ

ジェーン・スー,光浦 靖子,山内 マリコ,中野 信子,田中 俊之,海野 つなみ,宇多丸,酒井 順子,能町 みね子/幻冬舎


以前、YOUさんと山里亮太さんがMCを務めていたらしたNHKの「ねほりんぱほりん」という番組がありまして、好きでよく見ていました。
この番組と言うのが世の中の大多数の人がその存在は知っていても暮らしぶりを想像しにくい人たち(例:現役占い師、元覚せい剤中毒者、地下アイドル、ホストにはまる女、政治家秘書など)をスタジオに呼んで、その人たちに根掘り葉掘りインタビューするというものでして、ある日たまたまコドモと一緒に見ていた回のゲストが「ヒモ(と、それを養う女)」だったんですね。それを見ていたコドモに「ヒモって言うけどさあ、ヒモと専業主婦は何が違うの?」と吐き出すように言われまして、ちょっと言葉に詰まりました。

女が自身ではお金を稼ぐ仕事をせずにパートナーの男の給料で生活していても何も言われないけど、これが男だとヒモっていう蔑称がつくという現実(これは「結婚」しているかしていないかによって違うって気もするし、今は専業主夫も少しずつ増えていったり結婚観もその形も変わりつつあるので、状況は今後少しずつ変わっていくとは思いますが)を、この本では「男の呪い」としてジェーン・スーさんと「逃げ恥」作者の海野つなみさんが対談で喋っています。

そんなジェーン・スーさんの対談集
対談相手が私の好きな光浦靖子さんに始まり、私の好きな能町みね子さんに終わっている点でもうこの本は私的に買い。

「冤罪お局を救う会」を一人で発足していると言う光浦さん、「女の敵は女」なんかではないよ、ということを小説の中でずっと書き続けていると言う山内マリコさん、私が別の記事で書いた、自殺者の7割が男性、という話も、この本の田中俊之さんとの対談にあったものです。

頭のいい人たちの実になるようなならないような話を、「へー」「ほー」「なるほどー」と聞くのが好きな方にはおすすめです。


学生時代にやらなくてもいい20のこと

朝井 リョウ/文藝春秋


朝井リョウさんて、大学在学中にさらっと直木賞なんて獲っちゃって、しかもその大学が早稲田だし、サークルはダンスサークルというなんかリア充っぽいサークルで、『ザ・イマドキノワカモノ』ゆとりウェ~イ♪って感じかと、『桐島、部活やめるってよ』が話題になったころは思っていたのですが、その後、いろんな対談とかを見ていて、なんだかずいぶんなこじらせ男子だということがわかり、俄然興味が湧いてきていました。

オカヤイヅミさんの『おあとがよろしいようで』という作品でも、「若いうちに直木賞なんて獲ったから、このあとの人生で何か大きなひどい目にあって「清算」にされるに違いない」と思っていて「いい時もあったから自分は大丈夫、と思うために、今まで取材された記事をすべて切りぬいてとってある」とか言ってたし、久保ミツロウさんと能町みね子さんのオールナイトニッポンでもさんざんいじられていたし、いろいろと「おっ♪」と思わせる、突っ込みどころの多そうな人。小説は2~3作しか読んだことないのですが、朝井リョウ本人の人となりは以前から気になるところではありました。
エッセイを書いていたとは知らなかった(友達に教えてもらいました)。これは読まねばならぬ。

ということで読みましたが、このエッセイに書かれている彼の生活はリア充感ありありの大学生生活で、友達と大島に行ったり北海道にフェスに行こうと計画して(行けなかったけど)たり、リアル脱出ゲームに参加していたり、イマドキの都会の若者っぽくて普通に楽しそうなんですよ。今どきのウェ~イ♪な若者です。でもそこここに「あ~、やっぱり朝井リョウ…ふふふ」っていうこじらせ感が見えて、笑えて面白いです。ところどころ、笑かそうと思って書いている感じがちょっと透けすぎていて、これ今本人読んだら恥ずかしいんだろうな~(この本は2012年発行)なんてことを思うのもまた楽しい。(←意地の悪いおばさんの楽しみ方)

この本を勧めてくれたお友達の息子さんが今大学1年生で、電車通学中の車内で読んでいたら、あんまり面白くて周りの人に変な人だと思われそうなくらいニヤニヤしてしまった、と言っていたそうなので、公共交通機関での読書はおすすめしませんが、気楽な読み物が欲しいときにおすすめです。


これ、私ここに書きましたっけ?既に書いていたらごめんなさい(自分で調べる気がない)。
『キングダム』、めっちゃくちゃ面白くて激押ししているんですが、50巻以上出ているという時点でみんな引いてしまって読んでくれません(泣)。いや面白いんだってー!

舞台は中国の春秋戦国時代、秦国・・・ってこういうの女子が食いつかないやーつ。ですよねー。まあヤングジャンプですし。
私も歴史ものとかすごく苦手だし、少年漫画っぽいこの絵柄にもあまり馴染がなくて躊躇したんですが、えいっと読み始めたらこれが本当に面白いんですよ!!

奴隷の身分に生まれ、子どもの頃から奴隷として働かされてきた主人公の信という少年は、親友の漂とともに密かに剣の腕を鍛え、いつか戦場で活躍して、奴隷の身分から抜け出して二人で天下の大将軍になるんだ!という夢を持っているわけですが、ある日急に国のエライさんがやってきて、明日から王宮で働かせると言って漂だけを連れて行くんですね。理由はわからないもののこれは漂にとってはチャンスだと喜びつつ、いつか追いつく、待ってろよ、と一人修行に励んでいる信のところに、血まみれになった漂が戻ってきて、「すぐにここに行け」と一枚の地図を託して息絶えます。行った先には漂にそっくりな若者。実は彼は秦の国王えい政で、漂は顔が似ているという理由で影武者として王宮に連れて行かれ、王の弟が起こした反乱によって王と間違われて殺されたのでした。事情を知った信は、最初怒り狂って王を殺そうとするのですが、漂はすべてを知っていてそれを受け入れたこと、信に地図を託したのは、死後、自分に代わって王を守ってほしいと言う意図だったことを知り、王とともに王宮奪還に動き出します。

んで、このあと「秦の怪鳥」とあだ名される大将軍「王騎」(見た目と喋り方がドラァグクイーン風。私が一番好きなキャラクターです)やら、蛮族と恐れられる山の民の王「楊端和」(超美人女性)やら、いろんな個性的なキャラクターがわらわらわらわら出てきまして、王宮を奪還したり、他国に攻め入られたり色々色々しながら、各国が入り乱れて戦を繰り返す時代を駆け抜け、中華統一まで突っ走る話なわけですが(秦国王っちゅうのが後の始皇帝なんですわ)、これが多分100巻くらいまでで完結するだろうと言われていて、今は54巻まで出ています。こういうのあれですか?サーガとか言うんですか?

ストーリーが進んで行くと、だんだん登場人物も増えてきて話も込み入ってくるので集中力が必要になってきますが、とにかく各キャラクターに魅力があるのと、ストーリー展開が豪快で派手なので、歴史とか苦手なままでもぐいぐい読めます。私、このマンガで「函谷関」が何なのかを初めて知りました(♪箱根の山は天下の剣、函谷関にものならず~ってあれ)。

今、映画も公開されていますね。観に行きましたが俳優さんのビジュアルが漫画原作を裏切ってないな~と感心しました。山崎賢人も吉沢亮も(この二人はアクションシーンも素晴らしかったです)、本郷奏多も長沢まさみもぴったり!大沢たかおも頑張っていたと思う。でももっとガッツリメイクしてもよかった。
映画版になった「王宮奪還編」だけなら5巻までで収まります。このあたりまでは話も複雑じゃないので読みやすいです。ぜひぜひおすすめ。さあさあ、5巻までだけでも、ぜひ!


ということで、私はゴールデンウィーク中に読む本をまた探してきます。


お付き合い、ありがとうございました。


by vitablommor | 2019-04-26 10:34 | 本・CD・DVD | Comments(0)

10連休を持て余す

さてさて、平成と令和の境目、10連休まであと少しですね。
あ、でもお仕事によっては10連休なんてとんでもない、って人や、それどころか10連勤だわ!って人もいらっしゃるかもしれませんね。お仕事される方、お疲れ様です。ありがとうございます。そういう方のおかげで世の中が回るんだと思います。
この連休を利用して、海外旅行に行ったり、その他有意義な計画を立てていらっしゃる方には、充実したお休み期間をお過ごしになれますようにお祈り申し上げます。

そんな10連休。しかし私は持て余します10連休!それがわかりきっている!(何を力強く言っているのか)
わかりきっているので本を買ったり借りたりして連休に備えてみたのですが、うっかりその大半を読んでしまったのでこちらにご紹介することにします。私と同じように持て余す予定の方、もし気になったものがあれば見てみてください。

小説部門から

カゲロボ

木皿 泉/新潮社


Tカードの買いものやレンタル情報が令状もないのに警察に提供されていたというのが今年ニュースになっていましたよね。
Tカードに限らず私たちは普段いろんなカードやアプリを利用するごとに、お買いもの記録、レンタル記録、ことによったらPCやスマホの閲覧記録まで丸裸同然になっているんだろうなあと思います(kindleで買った本は、今どこまで読んでいるか、どこで読むのを止めたかまで把握されていると聞いた時は戦慄しました)。今や都会では至る所に防犯カメラもあるので、24時間どこにいても監視下にあるのかもしれない。という得体のしれない気持ち悪さ。を、内心うっすら感じつつもそこらへんは敢えてほじくらず、ふたをして、今日もTポイントを使ったり、楽天やAmazonでお買い物したりするわけですけども。

カゲロボは、人間そっくりのアンドロイドが実はすでにひっそりと完成しており、私たちの社会に普通の人間の顔をして紛れ込みながら、監視ロボットとしてすべてを見、記録しているらしい。という都市伝説めいた噂から始まる短編集です。
都市伝説らしい、少し背中がひやっとする感じと、木皿泉作品らしい、最後の最後に少し人間を信じられるようなひとかけらの希望が両方詰まっています。

私たちは自分の行動すべてを見られているなんて本当にまっぴらだし、そういったことに恐怖と嫌悪をおぼえますが、その一方で、誰かが自分のすべてをわかっていて、見守ってくれていて、「大丈夫だよ」と言ってくれるとこを希求したりもするものなんだよな~。(だから宗教が生まれるんだろうな)


ポースケ (中公文庫)

津村 記久子/中央公論新社


『行きつけのカフェ』が欲しい、と思うことがあります。
どんな時でも一人でふらっと立ち寄れて、重くなり過ぎないご飯とか、今日はお茶だけとか。お店の人や常連客といい感じの距離感で軽くおしゃべりしたり、あるいは特に誰と喋るでもなく本を読んで何時間でも過ごしたり、気兼ねなく、自由にできるような。。。
憧れるなあ~。でも基本的に出不精なので、用もないのに一人でカフェとか行かないんですよね。じゃあ無理だろ!っていうね。


『ポースケ』は、奈良のちいさなカフェを舞台に、カフェを経営している女性、その友達のシングルマザーと娘、朝だけアルバイトしている睡眠障害の女性、逆に午後からのアルバイトの主婦、常連客のピアノ講師、など、カフェに集うそれぞれの人物の日々の葛藤を、津村さんらしい淡々として重くなり過ぎない筆致で丁寧に描いたオムニバス短編集です。

カフェにいる時の顔だけを見ると、睡眠障害の女性が気になるくらいで他はみんな普通に大丈夫そうな人たちなんだけれど、実はそれぞれにいろんな問題を抱えながら、それでも普通の顔してなんとか生きている。

そうなんだよなあ、人って多かれ少なかれそういうものだよねー。何も悩みもなさそうに見える人だって、大抵はなにか抱えていて、それをなんとか凌いで生きているんだよね~、という、「でしょうね」って言われそうな、でも普段は忘れがちな、他人への想像力を呼び覚ましてくれるような、ほのあたたかい作品でした。

タイトルの『ポースケ』って、犬か何かの名前だと思って読み始めたのですが、これは北欧のお祭りの名前でした。


昼間はダンス衣装専門店『シャール』、夜はカフェ『マカン・マラン』となるお店を経営しているのは、元エリートサラリーマンで、今は「品格あるドラァグクイーン」のシャールさん。
構成としては『ポースケ』と同じ感じで、カフェの店主とそこに集う人たちそれぞれが主人公の短編集ですが、『ポースケ』ではそれぞれの悩みはあくまで個人て抱えていくもので、カフェでそれが語られることはなかったのに対し、こちらは悩みを抱え、弱り切った心でたどり着いたお客さんに、シャールさんがその人の体調に合わせたお茶やまかない料理を供しながら、悩みを聞いたり話をしたりすることで、いつしかその人たちが自分を信じて次のステップに踏み出すための勇気を蓄えていくというお話になっています。
『マカン・マラン ふたたび』『~みたび』『~おしまい』の4部作。(私はまだ3冊しか読んでませんが)

会社都合のリストラ対象者となった40代女性や、職場の女ボスとそのグループを嫌いつつ、孤立するのが怖い派遣社員OL、ある日突然、母親の作った食事を一切食べなくなった中学生、子どもが発達障害かもしれないということに不安と焦りを感じる母親、一人娘の進路選択に困惑する中学教師の父親、タワマン住まいの優雅な奥様(実は離婚間近の仮面夫婦)など、さまざまな人が悩みを抱えて、何らかの縁で『マカン・マラン』にやってきます。

色んな人のいろんな悩みの中に、「他人(時に親)からなんて言われるかが怖い」という「毒」が混ざっていることが多くて、そういうことで疲弊している人って本当に多いんだろうなあと思いました。

この手の《どこか理想の隠れ家みたいなところで理解力のある魅力的な聞き手がいて、そこで悩みを話してアドバイスをもらってほっこり》的な話って、作者が下手だととんでもなく押し付けがましいベタな話になってしまいますが、これはよかったです。

どうでもいいけど私は最近「ほっこり」っていう言葉があまり好きではありません。なんっかむずむずするんですよねえ。


ちょっと毛色が変わったものも

あきない世傳 金と銀 源流篇 (時代小説文庫)

髙田郁/角川春樹事務所


以前、NHKでドラマになった『みをつくし料理帖』と同じ高田郁さんの作品。『みをつくし』を勧めてくれた友人の強い勧めて読んでみました。シリーズで出ていて私が読んだのはまだ2巻までなのですが、かなり面白いです。こちらもNHKでドラマ化も近いかも?
江戸時代、幼くして親を亡くした主人公の少女が、奉公先のお店でその才能を認められ、お店の立て直しのために奮闘する、という基本構成は『みをつくし』と似ています。

『みをつくし』では料理屋だったのが、こちらでは呉服屋。賢くて勉強好きなのに「女だから」と学問をさせてもらえなかった幸が、女衆として奉公することになった呉服店『五鈴屋』で、その賢さを見抜かれ、なんと跡継ぎ長男の後妻にという話が持ち上がります。
奉公人が跡取りのお嫁さんになるなんて普通はあり得ないことなのですが、そこにはこの長男がとんでもないアホぼんで、遊郭狂いで借金を作った挙句、いいお家から持参金付きでやって来た嫁にも逃げられ、それでも懲りずに店のお金を盗んだりして(そのお金で遊郭行こうと思ってた)評判を下げに下げ、もうだれも後妻に来るものなどいない、という裏事情がありました。
幸は当然こんな色狂いのアホぼんは大嫌いなのですが、信頼していた番頭さんに、お前は女衆のままで終わるような女子ではない。戦国武将になれる器だ。これはチャンスだ、と説得されて。。。

けなげで賢くて勉強好き、商才がある幸、どこまでもアホ丸出しの跡継ぎ長男、長男が役に立たないので実質的に店を経営しているけれども跡継ぎになれないことに鬱憤がたまっている次男、優しくて物語が好きで商売には全く興味がない三男、傾きかけの五鈴屋、果たしてどうなるか、今後の展開が気になります。


以上、小説部門のご紹介でした。
長くなったので続きは明日。



by vitablommor | 2019-04-25 10:33 | 本・CD・DVD | Comments(0)

語彙力と表現力!!

おすすめのマンガです

ミステリと言う勿れ (1) (フラワーコミックスアルファ)

田村 由美/小学館



田村由美さん、私が学生の頃から長く長く書き続けていらっしゃる方ですが、久しぶりに読みました。
めっちゃくちゃ面白かったです。
彼女も友達もいないが快適に生きているカレー好きな大学生 久能整(くのうととのう)君が主人公
冤罪で殺人犯にされそうになるのを皮切りに、いろんな事件に巻き込まれていくのですが、どこの事件現場でも常に飄々としていて、ふとしたきっかけから色んなことに対して「僕は常々思ってるんですが…」と滔々と語りだしちゃう。その語りが実に実に面白い!のです。

たとえばー
「どうしていじめられてる方が逃げなきゃならないんでしょう
 欧米の一部では いじめてる方を 病んでると判断するそうです
 いじめなきゃいられないほど病んでる
 だから隔離してカウンセリングを受けさせて 癒すべきと考える
 日本は逆です
 いじめられてる子をなんとかケアしよう カウンセリングを受けさせよう 逃げる場を与えよう
 でも逃げるのってリスクが大きい
 学校にも行けなくなって 損ばかりする
 DVもそうだけど どうしてなんだろう
 どうして被害者側に逃げさせるんだろう
 病んでたり 迷惑だったり 恥ずかしくて 問題があるのは いじめてる方なのに」

またたとえばー
「”女の幸せ”とかにもだまされちゃダメです
 それを言い出したのは 多分おじさんたちだと思うから
 女の人から出た言葉じゃきっとない
 だから真に受けちゃダメです
 女性をある型にはめるために 編み出された呪文です
 だって ”男の幸せ”って言い方はあまりされないでしょ
 片方だけあるのはやはりおかしいんですよ」

胸のすくような、そうそう!それ私も思ってた(でも明確に言葉にできていなかった)ということを整君が語ってくれるので、すごいカタルシスがあります。もちろん本筋のお話も面白いですよ。
現在4巻まで刊行中。今後も楽しみです。


そしてもう一冊、こちらはだいぶ前に読んだのですが、多分記事にしてなかったと思うので
よくできた短編映画の様な味わい。で、すごくいいです。

よくあるつまらない田舎町でつまらない毎日を過ごし、仕事辞めたいわ~って思ってる主人公のカナエ。幼馴染のかずきが凄いロケットを作って飛ばそうとしていることを知り、これはお金になるのでは?!と、最初は利用しようとするのですが、かずきがロケットを飛ばそうと思ったきっかけとその目的を知って、自分もロケット作りにのめり込んでいきます。
かずきの夢とかずきお兄さんやその不倫相手の梨穂子さんの鬱屈、航空法の問題、警察の介入。果たしてロケットの打ち上げは成功するのか-

これ、どこがどういいって、うまく表現できないんですよね~。でもいいのよ!
すごくいいのに、どういう風にこの良さを表現するかで躓いちゃって、だから記事にしていなかったと思うのですが(既に書いてたらごめん)「とにかくいいから!」というバカみたいな表現ででもご紹介したいと思いましたので載せます。

よかったら読んでみてください。


語彙力と表現力、文章の構成力など、いろいろ磨きたいな~と思わされた作品二つ。本当におすすめです。




by vitablommor | 2019-04-12 10:44 | 本・CD・DVD | Comments(0)

ひとり津村記久子フェア

津村記久子さんの本は、たしか『ダメを磨く』っていう本について以前ここでも書いたことがあるかと思います。
あの本の後もエッセイは何冊か読んでいたのですが、小説は最近になって初めて読みました。
そしたらこれが面白いの!

とにかくうちに帰ります (新潮文庫)

津村 記久子/新潮社




この世にたやすい仕事はない (新潮文庫)

津村 記久子/新潮社




この2冊、どちらもそれほどドラマチックなことは起こらないのですが、とにかく読み止まらないくらい面白かったです。
それほどドラマチックではない・・・うん。でも、大雨で家に帰れないかもしれないぞこれ!って、普通の生活の中では実は相当にドラマチックな出来事ですよねー。ドラマチックの意味あってるのか??でも、すごくリアリティのある非日常。。。
そういう、リアリティのある非日常を書くのがすごく上手い作家さんなんだなと思います。
次は芥川賞受賞作の『ポストライムの舟』を読もうか、それとも『ポースケ』。。。当面、ひとり津村記久子フェアが続きそうです。







by vitablommor | 2019-03-29 08:49 | 本・CD・DVD | Comments(0)

日々是好日

樹木希林さんと黒木華さん、好きな女優さんの共演作で、「これ絶対観よう。」と決めていた映画『日々是好日』
希林さんの遺作ともなった映画なので、さぞかし沢山の映画館で掛かるだろうと思っていたのに、うちの近所の映画館では今月も来月も上映予定にない!
今月中に観たいと思ったら、西の方か東の方に1時間かけて出かけていくしかないらしい。田舎って悲しーい・・・(泣)


仕方がないので(というのは失礼だけど)ひとまず原作本を買いました。

日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)

森下 典子/新潮社

そしたらこれがすごく良くて…!!!読んでよかった。

エッセイと言うか、私小説?大学生の時にお母さんに勧められて、いとこと一緒に近所の「武田のおばさん」にお茶を習いに行くことになった典子さん。
最初はお茶の細かな作法や決まりきった形式に戸惑い、反発を感じながら。勉強や就職活動に追われる日には「こんな忙しいときにのんきにお点前なんてしてる場合じゃないのに」と苛立ちながら。後から入ってきた若い人の才能に焦り、自分にはお茶なんて向いていなかったのではと自信をなくしながら。行きたくないな~と思う日々も。もうやめようと決めた日も。
それでも20数年お茶を続けて、その中で見えてきたもの。

私は茶道を習ったことはないし(そういえば若いころは憧れたー)、これからも習う予定はありませんが、「お茶」っていいな、って思いました。
いや、「お茶」それ自体がどうこうというよりも、それを通して作者が掴んだもの。
季節や空気の匂いに敏感になることや、美しい所作や立ち居振る舞い、もてなしの心、成長を待つということ、そして何より「今、ここ」に100%いる、というあり方が、すごくいいな、と。

茶道をなさっている方ならば、より深い理解と共感が得られると思いますが、私のようにお茶なんてペットボトルばっかり飲んでいるような者にもとても響くものがありましたので、同輩の皆様にもお勧めです。

これ、多分とても静かで地味なんだろうけど、心に沁みるいい映画になったんだろうな~。
黒木華ちゃんの典子さんと樹木希林さんの武田先生、ますます観たくなりました。


今日からせめて姿勢だけでもピッとして生活しよう。



by vitablommor | 2018-10-11 08:41 | 本・CD・DVD | Comments(4)

人生相談

ふと思ったんですが、よく言う仕事の「ホウ・レン・ソウ」ってあれ、報告・連絡・相談ってやつ。
あれの報告と連絡ってわける必要ありますかね?報告でまとめちゃってよくない?
なんか「ほうれん草」にしたくて無理やり「レン」ぶちこんでない???

ということを洗濯物を干しながら今朝思いました。


お悩み相談本をね、最近読んだんですわ。

悩み相談本って、実は私、結構好きかも知れないです。
思い返せば朝日新聞(だったか?)に連載されていた『中島らもの明るい悩み相談室』が好きでした。
ジェーン・スー『相談は踊る』も、雨宮まみ『まじめに生きるって損ですか?』も、吉本ばなな『人生って?』も、全部好きで所蔵しています。どれもとてもいいんです。
私自身は誰かに悩み相談をすることはあまりないし、お悩み相談の回答を私自身の何かに役立てようと思っているわけではないのですが、なぜかついつい読んでしまうんですよね。新聞、雑誌の相談コーナーなんかもそういえばよく読みます。
お悩み相談ものって、回答者の世界観人生観とか人生経験とか、器の大きさ懐の深さとか、あと自分をどれほど偉いと思ってるかとか、いろんなものが否応なしに透けて見えてしまうので、そこが面白いのかもしれません。

そういう意味では以前こちらで紹介した『子供はなぜ勉強しなくちゃいけないの?』って本は、思い返せば興味深かった。
回答者は著名ないわゆる有識者の方ばかりなんですが、回答内容を読むと「うわ~、つまんねー!」ってものも実はあって。
まあこの質問自体がもう使い古され感があって難しかったのかもしれないし、一つのことであまり判断してもいけないかもしれないけど、やっぱりそこでつまらない回答を出す人のことは、ああこの人つまらない人だなって思ってしまいました。偉そうだけど。

私は普段からぼーっと生きているし、人生経験も(年数の割に)少ないし、人生の振り幅も感情の振り幅も大きい方じゃないので、色んな人生経験をしてきて、悩んだり傷ついたりしながら沢山色んなことを考えて生きてきた人の、私なんかには思いもつかない角度からのものごとの見方にハッとしたり、「おお!」と呻ったりしたいのです。そうして今までなかった視座を身につけたいわけです。多分。これは悩み相談本だけじゃなくて、読書全体に期待することでもあるのだけれど。

そうしたわけなので、昼は普通の営業係長、夜はオカマ(女装ではない)として、私とはまるで違う世界に生きているBSディムさんの回答はいかに?と期待して読みましたが、意外にも?回答はどれもまともなものばかりでした。
まえがきに「オカマは異性愛者にはない人生経験を積んでいて、男女両方の気持ちを理解してくれて、ウィットに富んだ返しと豪快な毒舌で溜飲をさげてくれる……そんなイメージから、オカマに相談を持ちかけたいという相談は後を絶たない」けど、「多くの人間が凡人であるように、多くのオカマもまた、凡人なのよ」とありました。
オカマさんだからさぞかし…という私の期待は、ある種のLGBT差別だったかも…と気づかされました。すみません。
あと、この本はサブタイトルで「オトナのためのお悩み相談」とありますが、大人よりもむしろ10代20代の若い人に沁みるんじゃないかと思います。
相談者もそのくらいの人が多いし、「友達のSNSでの幸せアピールに腹が立つ」とか、大人にはもうどうでもいいでしょう?
BSディムさんももう30代の大人の方なのですが、こういう若い悩みに親身に答えていらして、多分心根の優しいいい方なんだなあと、そこはすごく伝わってきました。



by vitablommor | 2018-10-09 10:29 | 本・CD・DVD | Comments(2)

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