2018年 02月 13日 ( 1 )

避けてきたテーマ

『アンネの日記』を読んだことがありません。
『夜と霧』ももちろん。
『海と毒薬』も。
避けてきたのです。

『アドルフに告ぐ』は、ついうっかり読んでしまいました。
今でもちょっとしたトラウマです。でも本当に名作です。
今の時代だからこそ、沢山の方に読んでいただきたい。本当に名作です!(2回言いました)

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手塚 治虫/文藝春秋

でも元気がある時に読むことをお勧めします。こういうのをただのフィクションとして読める方は別ですが、そうでない方はうっかりしてるとダメージ喰らいます。



『アウシュヴィッツ』というタイトルから、本の内容に私が避け続けてきたことが深く関わってくるのがわかっていたので、図書館でこの本と目が合った時は手に取るのを躊躇しました。
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でも結局手に取ってしまった。

最初の方はなかなか読み進まず、アウシュヴィッツの捕虜になった悪夢を見るし、本当に読んでいて辛かった。
私は本に対して変に共感能力が高い所があるので、こういう本にはがっつりダメージを受けてしまいます。
でも途中で読むことを止めるわけにはいきませんでした。だってまた夢に出てきちゃう。
戦争が終わって主人公のディタが生きのびたのを確認するまではやめられない。え?まだ1944年4月?長いよう・・・早く!早く戦争終われ!と思いながら読みました。3日かけて読了。


アウシュヴィッツには国際視察団の目を誤魔化すため(ナチスは捕虜収容所が人道的に運営されていると見せかけており、ユダヤ人捕虜のホロコーストについて国際社会が知ることになるのは戦争末期、アウシュヴィッツからの脱走者による告発でようやく、だったそう)の『家族収容所』があり、その中には子供たちを遊ばせておくための『学校』があり、先生や助手(14歳~16歳の子供たち)が小さい子の面倒を見ていたが、そこでは鉛筆も本も所持は禁止。もし持っているのが見つかったら命はないし、『学校』は即時閉鎖に追い込まれる。
それでも学校には実は8冊の蔵書が隠されており、それらを毎日安全な場所に隠し、服の下に隠し持って運び、貸し出すという命がけの図書係をしているのがディタ。わずか14歳の少女ですが、本がどれほど人に光をもたらすかを知っており、SSに監視される恐怖に震えながらも、誇りと愛情を持って図書係の仕事をやりぬきます。

彼女を取り巻く環境は本当に過酷で読んでいるだけでも辛くなるほど。飢えや乾き、不衛生な環境、いつ訪れるともわからない死の恐怖。そんな地獄で暮らす人々の心は殺伐としており、SSはもちろんのこと、同じ捕虜の中にもレジスタンスもいればナチス側のスパイもいて、誰を信用していいかもわからない。そんな中で心を失わず、真実を求め、自分の中に消えない光を持って生きて行くディタの強さは本当に素晴らしいです。

これ実話なんですって。
もちろん創作部分も入ってはいますが。ディタさんをはじめ多くの登場人物は実在の人物で、収容所にいたSSたちが戦後どうなったかも、作者のあとがきで明らかにされています。

ディタが最後に収容されていた捕虜収容所で、暴力的な女性看守(元美容師でいつもおしゃれな髪型)について、「もし戦争がなかったら、彼女は気のいい街の美容師で、ユダヤ人もドイツ人も区別なく、彼女の美容室で陽気に冗談を言いながらおしゃれなヘアスタイルをセットしてもらったりしていたのではないか」と想像する場面があります。
本当にね、戦争は人を狂わせるよね。それを体感してきた世代の人たちがいなくなっていくのが怖いです。だからこそこういう本が読み継がれていくことが必要なのだと思います。避けてきたけどね。

読んでいて、特に前半部分は辛かったのですが、それでも読む価値のある本、多くの人に読まれるべき本だと思いました。
ぜひ読んでみてください。元気のある時に。


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by vitablommor | 2018-02-13 10:51 | 本・CD・DVD | Comments(0)