真っ当な大人
2018年 01月 31日
両親を亡くした子供が親戚の中で盥回しになりそうなところを、縁の遠い独身の大人が引き取るー という設定。
記憶に新しいのは大ヒットしたドラマ『マルモのおきて』、マンガだと『うさぎドロップス』、『海街ダイアリー』など。
いずれも、その子を引き取らなければならない立場ってわけではなかった人たちが、その子のことを考えたら自分が引き取らないではいられなかった、というところからのスタートです。
『大人って子供を守るもんだろう』という、至極真っ当な判断が最初になされている、この時点で視聴者あるいは読者は、物語のその後は温かいものになるだろうと予感し、安心できる気がします。
『マルモ』と『うさぎ』は小学生の子どもを引き取るお話なので、思春期まっただ中の女の子を引き取る『海街』とは雰囲気が大分異なります(『うさぎ』では小学生だったリンちゃんが成長して大人になるまで描き切ってますが)が、いずれにせよ真っ当な大人が中心にいてくれるという世界観は、私たちを安心させますね。
『違国日記』は『海街』同様、中学生の女の子を引き取る話。繊細な雰囲気は『海街』に重なる部分も多いです。
両親を突然の事故で亡くし、まだ「悲しい」という感情すら抱けないで「ぽつーん」「ぽかーん」としている15歳の少女「朝」を引き取ったのは、朝の叔母「槙生」
仲の悪かった姉「実里」の子である朝とはほとんど会ったこともなかったし思い入れもないのだけれど、葬儀の席で親せき一同が、朝が実里の実子ではないらしいなどの噂話や責任の押し付け合いを、朝本人の目の前でやるのを見かねて彼女に声をかける
仲の悪かった姉「実里」の子である朝とはほとんど会ったこともなかったし思い入れもないのだけれど、葬儀の席で親せき一同が、朝が実里の実子ではないらしいなどの噂話や責任の押し付け合いを、朝本人の目の前でやるのを見かねて彼女に声をかける
「あなたは
15歳の子供は
こんな醜悪な場にふさわしくない
少なくともわたしはそれを知っている
もっと美しいものを受けるに値する」
「わたしは大体不機嫌だし あなたを愛せるかわからない」
「でも」
「わたしは決してあなたを踏みにじらない」
「それでよければ明日も明後日もずっとうちに帰ってきなさい」
真っ当な(でも親戚の中でははみ出し者の)大人の真っ当なセリフにしびれます。
『(15歳の子供は)もっと美しいものを受けるに値する』という感覚、好きだなあ。。。
でも、こんなカッコイイ言葉で朝を引き取った男前な(女性)槙生ですが、彼女自身も沢山の傷を抱えているのか、人間関係に対して恐れを抱いている様子。後日「15歳みたいなやわらかい年頃 きっとわたしのうかつな一言で人生が変えられてしまう」「怖い」と友人に告白しています。
繊細で不器用な大人と、傷ついているのにまだそれを受け入れられてもいない少女の不器用な二人暮らし。
まだ1巻しか出ていないので、今後どういう展開になって行くのかまったく未知数ですが、面白くなっていくに違いないという予感がします。
次巻が楽しみ。
by vitablommor
| 2018-01-31 09:43
| 本・CD・DVD
|
Comments(0)