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言葉は呪いか祝福か

最近読んだ本の話です。

このブログのライフログの欄にも載せている『週末、森へ』の続編が出ていたので買ってみました。
(本のタイトル『週末、森で』でした。間違えちゃった。ごめんなさい、訂正します。)

きみの隣りで

益田 ミリ/幻冬舎

『週末、森で』がすごくよかったので期待していたのですが、期待値が高過ぎたのか、正直「う~ん、前作の方がよかったなあ」と思ってしまいました。まあ個人的にね。読む人の立場で、こっちの方がよりよかった!と思う人もきっといると思います。

前作は森の近くで田舎暮らしをする早川さんと、そこに時々遊びに来る、都会で働く2人のお友達(30代独身女子、少々お疲れ気味)のお話で、日々をついキリキリして過ごしてしまっているときに、ほっと力の抜ける、その方法を教えてくれるようなお話だったのですが、今回、話の中心になるのはその3人よりも、臨時採用で早川さんの息子君の担任になった若い女の先生。

お姉ちゃんばかり構っていたお母さんが、お姉ちゃんが海外に行った途端に自分にべったりしてくるようになり、それを重いと感じながらも期待に応えようとして、がっかりさせたくなくて、でも自分の望みとお母さんの望みは違うので、苦しんでいる人。

「お母さん、ヒナちゃんのためを思って」
「ヒナちゃんもお姉ちゃんと一緒なのね。お母さんのこと捨てるんだ」
「お母さんだけががまんすれはいいんだね」
こんな言葉をしょっちゅう母親から言われていたら、自分の意見なんて言えなくなってしまいます。言えないだけじゃなくて、意見を持つことさえも難しいかも。言葉の呪いです。

「ヒナちゃん」と「お母さん」、それぞれ別の時に森を散歩中の早川さんと偶然出会い、互いの立場を知らないままで何気なく交わした言葉で、ふっと楽になり、精神的に解放されます。そういうところは前作と一緒。
何気ない言葉が、受け取る人によっては特別な意味を持って、人を救うこともある。言葉は祝福でもありますね。

人をがっかりさせたり期待を裏切るのが怖くて、でも自分の本当の望みはそことは違う、と苦しんでいる人には、救いの一冊になるかもしれません。
私がこれを、前作ほどよいとは感じなかったのは、今、自分の中にそういう「期待に応えなくちゃプレッシャー」があんまりないってことなんだと思います。良い傾向です。


いい言葉、心に響く言葉は、人それぞれ。その言葉を受け取るタイミングによっても違ってきますよね。
ずっとずっと胸の奥で響き続ける言葉もあれば、以前読んだときは気にも留めなかったのに、今読んだら泣きそう・・・なんてこともあります。
そんな言葉を集めた本も読みました。

ボールのようなことば。 (ほぼ日文庫)

糸井重里/東京糸井重里事務所


ふたつめのボールのようなことば。 (ほぼ日文庫)

糸井重里/東京糸井重里事務所


『ほぼ日刊イトイ新聞』のコラムを、半年ほど前から毎日読んでいて、ぐっとくる時やハッとする時、ま、そうでもない時もあるのですが、この本の中の言葉たちもそんな感じです。
でも、「あ、付箋つけたい」と思ってなんか色々挟んだりしたページがやけにあるので、ぐっとくる言葉多めです。
何度も読み返して飽きない本っていうのはいいですね。文庫だから鞄のなかにいつも入れていられるし。

糸井重里さんはやっぱりコピーライターのイメージが強くて、「言葉を操る人」、悪く言えば「弄する」人、のようなイメージもあったのですが、『ほぼ日』コラムやこちらの本を読んでいると、むしろ「思いを伝えるための言葉を真剣に選んだ上で、一切の無駄を削ぎ落としている人」なのだなと思います。コピーって、そういえばそういうものですね。


言葉は武器にも凶器にも、この上ないプレゼントにもなるものです。

日本には昔から『言霊』っていう考え方があるけれど、あれ本当にバカに出来ないなと、年とってから思うようになりました。

なるべくなら人を呪う言葉ではなく言祝ぐ言葉を、突き刺す言葉ではなく包み込む言葉を、口にしたいものですね。

なんつってまとめてみました。てへぺろ。


あ、あのね、本の中でいいな、と思った言葉のテクニックがあるので、それだけご紹介します。
日本人て褒められた時になんて返していいかわからなくて困ったり、謙遜して否定したりするじゃないですか?でもせっかく褒めたのに「そんなことないです」って言われるのもね(と私は思うんだけどね)。
そんな時のための定型文を作ったんですって。それはね

「ありがとうございます。(そのお言葉を)励みにします」(にこっ)

使ってみてください。


Commented by e-sakamichi at 2016-03-24 14:38
コメント連投(笑)

呪いの言葉、母親の。
オソロシイ、かくはなるまい、と思いました。
「週末、森へ」で一番印象に残っているのは、
スズメがわかれば鳥がわかるってことよ、
というような(うろ覚え)シーンです(←そこ?)。
鳥見初心者には、ナイス連打な一言でありました。

誉められたときの定型文、ナイス!
「そんなことないです」の後にくる自己卑下の羅列ほど、聞いていてイヤなものはなく(笑)
誉めた方も嬉しくなる返し、いいです!



Commented by vitablommor at 2016-03-25 09:14
> e-sakamichiさん
コメント連投ありがとうございます^▽^
「週末、森で」読まれたんですね。確認したらそのシーンのセリフは
「スズメが見たことのない鳥に見えるのは、鳥の美しさが見えたってことよ」でした。
バードウォッチングのシーンもありましたよね。

定型文、いいでしょう?ホントホント、本気でいいと思って褒めてるのに定型の「そんなことない」には毎度がっかりなので、同じ定型ならこっちを使ってほしいな。
ちなみに私の定型文は「ありがとう!褒め言葉は全部もらっとくね♪」でしたが、目上の方からのお褒めの言葉があったらこちらの定型文を使おうと思っています^皿^
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by vitablommor | 2016-03-24 10:26 | 本・CD・DVD | Comments(2)

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