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本屋さんになりたい

子どもの頃から本が好きで、本に囲まれた暮らしをしたいと思っていました。
その割に本屋さんや図書館への就職について考えなかった。出版業界への就職についてはチラッと考えたこともありますが、ちょっと調べただけで超エリートの集まりなんだとすぐに理解して「はいはい無理無理」って選択肢から除外しました。(大手出版社でなければまだ道はあったかもしれないと今なら思いますが)
高校時代の友人が大学で図書館司書の資格をとって地元の県立図書館に就職したのを知った時は「あぁ!そういう道を何で私は思いつかなかったのか?!」と自分の考えのなさを呪いました。
司書や本屋さんや編集者じゃなくても、本に関する仕事って実は色々あるんですよね。そういうことに私はだいぶ大人になってからでないと気付きませんでした。テレビやその他のメディアを通じていろんな仕事を知って、知るたびに「そんな仕事があったのかー!」とショックを受け、つくづく自分の世界の狭さと人生設計の甘さにがっかりすることも度々。
私が13歳の時に『13歳のハローワーク』が出版されていれば、もっと早くに気づいたかもしれないのにっ…!!


そんなわけで『桜風堂ものがたり』は本屋さんの話です

桜風堂ものがたり

村山 早紀/PHP研究所

昨年の本屋大賞にノミネートされていましたね。かわいらしい表紙イラストも含め、印象としては『活版印刷三日月堂』と似ていますので、『三日月堂』がお好きな方なら間違いなく好きだと思います。

万引き事件をきっかけに勤めていた本屋を退職せざるを得なくなった主人公の青年と、その周囲の、本を愛する優しい人たちの物語。
主人公は幼いころに病気で母を、事故で父と姉を失ってとても孤独に生きてきて、優しいんだけど他人にあまり心を開かない青年に成長したのですが、本を通じて繋がったいろんな人たちは、そういう心を開かない、開けないことも含めて、意外にみんな彼のことを理解して愛して見守ってくれているんですよね。人って孤独なつもりでいても、気づけば周りに差しのべられた手はいつでもあるのかもしれないなあと、温かい気持ちになる本でした。

主人公が本屋さんなので、憧れの本屋さんの仕事についても色々知ることが出来ました。
最近、5年くらい前に出版された本を探しに行くことが何回かあって、そこで気づいたのですが、人気のある有名作家さんのものやロングセラーの有名な本でもなければ、出版年の古い本って本屋さんにはないことが多いのね。毎月新しい本が出るのに本屋さんの棚面積は限りがあるので入れ替えが必要なのは当然だけど、そもそも本には(雑誌以外でも)返却期限があって、それを過ぎると本屋さんの買い取りになるから、ある程度の期間売れなかった本は版元に返却することになっているというのをこの本で知って「そういうわけかー!」と得心しました。
書店員さんはそれぞれ担当の棚があって、毎月沢山出版される本のうち、どれを何冊仕入れるか、どういう風に並べてどの本を押すか、というのを決めるのもその担当書店員さんの役目なんだそうで、思ったより責任重大。でも思った以上に工夫しがいのある面白みのあるお仕事だなあとますます憧れがつのります。
そういえば私がよく行く何軒かの本屋さん、売れ筋の本はもちろんどこも押さえてありますが、その他のラインナップにそれぞれ個性があり、知らず知らず「この本ならあそこのお店にありそう」とこちらも勘を働かせて探しに行きます。あれは書店員さんの個性なんですね。自分好みの本が多くある本屋さんだと、どの人が担当されてるの?と今後気になりそうです。


最近は雑誌でも本でもweb版での出版も増えてるし、ネット書店もあるし、新古書店もあるし、出版不況と言われて久しいし、紙の本を扱う業界には厳しい時代なのかなと思います。せめて文庫だけは図書館で貸し出ししないでほしいと文芸春秋社が要請したことが昨年ニュースになって、結構批判されていましたが、なんか出版社側の気持ちもわかるよぅ~(泣)。
小さい書店が閉店する話もよく聞くけれど、町に本屋さんがなくなるなんて本当に寂しいことだと思う。聞いた話だと万引き被害での損失が大きくて閉店する場合もあるんですって。1冊盗まれたら5冊(本の粗利益率によってはそれ以上)売らないとその損害を取り戻せないそうです。万引きダメ、絶対。

本にまつわる仕事には就かなかったけれど、ありがたいことに本がいつでも身近にある生活はできています。図書館もネット書店も新古書店も利用しますが、町の本屋さんの灯がいつまでもあるように、なるべく近所の本屋さんで本を買うということも、意識的にやっていきたいと思うのです。




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by vitablommor | 2018-01-19 08:44 | 本・CD・DVD | Comments(0)

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